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4.2 TQCとは(TOTAL QUALITY CONTROL)

品質管理は、つくったものを良品と不良品に分ける検査の時代から、バラツキの原因を究明するSQCの時代へ、さらにTQCの時代へと変遷し、生産現場の品質管理から、全社をあげての全組織による品質管理へと変貌してきた。さらに対象となる品質は、物の質のみでなく、業務の質、経営全般の質を考えるようになり、TQCは経営管理のツールとして、実践されるようになってきたのである。第3次産業に浸透してきたのはそのためである。

TQCを要約すると次のようにいわれる。

(1) 全員参加すること

(2) 製品の品質保証をすること

(3) 業務の質を向上すること

(4) 組織的な活動をすること。

以上4項目を基本として、使用者が安心して買えるような品質、コスト、納期・量の製品を開発し、設計し、生産し、販売し、サービスし、ライフサイクルを通じて製品を生み出すプロセス及び業務の品質水準を向上させ、安定させ、管理状態にしていくすべての行為をTQC活動という。別の言い方をすれば、総合的品質管理(TQC)とは全員経営参加による総合的な改善活動であり、その活動の目的は、品質保障を中心とした全社的な管理水準の向上である。

 

TQC活動の基本的考え方

TQC活動についての基本的考え方を述べる。

(1) 品質ニューザーの満足度→後工程はお客様、マーケットイン

(2) 管理のサイクル(業務の改善・再発防止)

(3) 事実による管理(統計的品質管理)

(4) 自主管理(全員参加、人間尊重)

上記の四つの基本的考え方をもとに活動し、ユーザーに満足を与えることの結果として、企業は利益を得ることができるのである。

 

経営管理論とTQC

従来の経営管理論は、経営計画、経営組織などについて、大所高所から経営のあるべき姿を追求しているが、それらの計画を下部組織にどう具体的に展開し、日常業務としてどう実施し、その結果をどうチェックし、アクションをとっていくかという点、あるいは、経営組織におけるそれぞれの部門の分掌業務を、具体的にどう実施し、その結果をどうチェックし、どうアクションをとっていくかという点については、具体性を欠いていた。

この点について、TQCの考え方は、より具体的、実践的であるという特徴を持っている。しかし、逆にいえば、従来の経営理論が得意とする戦略的な経営計画のたて方、組織のあり方については、TQCでは、まだ未成熟の段階にある。今後はこの面について補強していく必要があろう。

 

以上で概略のQC手法、およびTQCの手法について述べてみた。

QCサークル活動について、興味を持ち、勉強したいと思う人は、(財)日本科学技術連盟編のQCサークル綱領、QCサークル活動運営の基本、QCサークル活動入門、QCサークルまんが指南、TQC概論などが出版されていますから、一読して見てほしい。若い世代の皆さんにぜひ勧めたい。

 

 

 

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