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また、膨脹したフロートが屈曲した結果、フロートの屈曲と垂直方向への動揺が増長した。この対策として、フロート取り付け部のボルト遊びによりフロートが均一に膨張するように調節したところ、フロートの屈曲による動揺は解消した。

3] 収納寸法

収納時に浮体をコンパクトにするため、支柱の折畳み構造を、支柱の途中2箇所にばねを入れた3つ折り構造として検討したが、試作した下部のばね部分においてが設計した初期張力を得ることが出来ず、浮体動揺時に支柱が腰折れ状態となった。

本試作においては上部のみばねを入れた構造とした。

4] スイッチの引き抜き力調整

SARTのマグネットスイッチの引き抜き力が約147Nと大きいため、フロートの膨張力では、スイッチが引き抜けなかった。引き抜き力を小さくするか、他の方式を検討する必要がある。

 

5.2.4 評価

昨年度の試作結果を踏まえ、今年度は持ち運びが容易なように軽量化を目指した。その過程で円偏波方式の送受信モジュールと分離が容易でさらに外形が直径10mm程度の円柱形になるアンテナ形状の利点を生かせる方式とした。そこでアンテナ部分を細いステンレス棒で海面高の1mを確保する設計とした。上部が軽く、しかも支柱部分が細い事から風による傾斜も減少させることが可能で、今回試作されたような形状となった。

今年度の試作品の重量は、昨年度の12kgから2.3kgまで軽量化された。しかし、丈夫のアンテナ部分などにまだ改良の余地が残る。

委員会で指摘されていることは、

1] 支柱とアンテナ取り付け部は同軸の一体形状として、風圧面積と重量の軽減をはかること。

2] 前回は支柱部分の畳み込みやバネ等を使用した折り曲げ構造などの試作が出来なかったが、畳み込みや折り曲げ構造の他に、ロッドアンテナのような形状など全体的なデザインを考慮する余地が有る。

3] フロート部分と支柱部分を固定せずに緩く接続する事で、フロート部分の傾斜が支柱を傾斜させないジンバル機構の状態にするとアンテナの直立状態を確保できると考えられる。今後、検討したい。

である。支柱部分をステンレス棒としてアンテナだけを上部に置く形式の採用は投下式SARTの小型軽量化に極めて有効である。

今後、指摘事項に関して実用面からの研究開発を進められることを期待したい。

 

 

 

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