1. 目的
IG-55 消火薬剤を使用して消火状況の確認、放射状況の確認、及び消火対象室内の酸素濃度の時間的変化と放出終了後の酸素濃度維持状態の測定を行う事を目的とする。
2. 実験内容
50m3(実容積:49m3)の消火実験室を使用し、IG-55消火薬剤を放出する。
● 消火実験室:50m3(実容積:49m3)
● 設計濃度:37%
● 放出ガス量:22.63Nm3 (貯蔵容器内容積:82.5L、貯蔵圧力:146.87kgf/cm2(35゜C)、使用貯蔵容器数:2本)
確認試験項目
● 拡散性能試験
● n-ヘプタン消火試験
● 灯油消火試験
● A重油消火試験
● エタノール消火試験
● キャンバス消火試験
● ケーブル消火試験
● プラスチック製パレツト消火試験
● 木材・紙・雑誌火災消火試験
3. 結果
全ての消火について確認した。拡散性能試験では、放出と同時に室内の上方に設置した燃焼皿が消え、次に放出開始から50〜60秒後下方に設置した燃焼皿が消えた。またバッフルプレートが、設置されているにもかかわらず消火に対し影響は無かった。n-ヘプタン、灯油、A重油は、放出開始から80〜90秒で消火した。エタノールは、放出開始より275秒で消火した。ケーブル、プラスチック製パレットは、放出と同時に消火した。キャンバス、木材・紙・雑誌は、大きい炎は、20秒以内に消火している。しかし深部のくすぶっている熱は、室温まで下がるのに150〜350秒以上必要である。また酸素濃度は、放出開始から約3分で9.9〜11.6%まで低下する。低下した酸素濃度は、放出開始より10分経過しても維持していた。
4. 結論
● 燃え上がっている炎は放出と同時に消火できるが、くすぶっている熱はある程度時間をかけて消火しなければならない。従って放出終了後は、一定時間消火ガスを閉じ込めなけらばならない。
● 消火対象物の予燃時間は、「感知器作動確認実験」により算出した(n-ヘプタン、灯油、A重油、木材・紙・雑誌火災消火試験を除く)。この実験では、感知器を連動した自動起動方式を行っていないが、全ての消火に成功した事から自動起動方式が出来ると判断する。
● IG-55 消火薬剤は、拡散性能試験の結果から以下の様な利点を持っているものと推察される。
・非常に早い拡散性を有している。
・空気より若干重いので防護対象物の下部の火災に強い。(エタノール消火実験でも証明されている。)
・空気より若千重いので消火薬剤の消火濃度の維持時間が長い。