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企業経営は立派な社会活動である

企業というものが社会にとってどれほど大切なものであるか、このことを経営者自身がもっと自覚しなければなりませんし、社会全体としても認識する必要があります。

社会を経済的に成り立たせているのは企業です。企業が人を雇用し、給料を払い、従業員とその家族の生活を支えています。利益が出れば税金を支払い、また、従業員に払った給料からも所得税や住民税が徴収され、それが国や地方の財源になっています。その意味で、政府が公共投資を行い、教育や福祉のサービスを行えるのも、企業活動があるからと言えます。さらに言えば、企業がモノやサービスという「価値」を生み出しているからこそ、社会が豊かになっていくのです。自給自足の小さな農業国家ならともかく、現代の産業社会は、企業なくしては成り立ちません。

にもかかわらず、非常に残念なことに、日本ではいまだに企業人を蔑視する風潮が見受けられます。企業は利益を追求しますが、そのことが「暴利をむさぼる」とか「他人の金を掠(かす)めてわが身を太らせる」というイメージでとらえられてしまうのです。

私が京セラを始めたとき、「企業を経営するとはどういうことか」と真剣に悩み、その大義を求めていた時期がありました。

 

 

 

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