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パットナムの問題提起

しかしながら、現在の社会は様々な側面において、宗教的、倫理的な復興を受け入れるだけの器に欠けているようです。シンポジウムの中で私は、ここ数十年におけるアメリカ社会の変化を研究したロバート・パットナムについて触れました。この変化とは社会への帰属意識と倫理的な責任感が希薄になってきたことを指します。パットナムの研究結果をもう少し詳しく見ながら、それがどれほど日本の社会にも当てはまるかを考えてみるのがよいかもしれません。昨年出版されたパットナムの著書『孤独なボウリング』(Bowling Alone, New York, Simon and Schuster, 2000)の中で彼は非常に鋭い分析を行っていますが、この分析は過去十年においてアメリカ社会で起きた出来事から集めた膨大な量のデータに基づいたものです。そこから見えてくるものは決して真新しいものではありません。

 

 

 

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