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いったい日本で何が起こっているのでしょうか。アメリカ人には自分たちは「神に選ばれし民」という考え方があり、これは簡単になくならないのですが、日本でもそのように思われます。この二つの事象の間に何か関係があるかもしれません。アメリカが日本を含め、世界中の国にアメリカのようになるよう圧力をかけている。これが日本や各国の防衛本能を刺激しているのかもしれません。

 

「外国語」を極度に恐れるアメリカと日本

わずか十五年前の一九八五年に、私が『徳川時代の宗教』に新しい前書きを書いた頃は、私の友人でもある有名なエズラ・ヴォーゲルが彼の著書で予言したように、日本が二十一世紀の経済ナンバーワンになると言われていました。アメリカは日本を真似して追いつかなければならないという感じでした。ところが、今はアメリカがナンバーワンの経済大国になっています。日本は一九八○年代末にバブル経済の崩壊があり、十年経った今でも回復の兆しはわずかです。ただ、忘れてはならないのは、日本は非常に豊かな国だということです。GNPはアメリカに次いで世界第二位であり、国民一人当たりのGNPはアメリカよりも高いのです。しかしアメリカ人も多くの日本人ももっと経済成長を望み、そして成長が鈍れば挫折感を感じるのです。

 

 

 

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