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石田梅岩先生はもとよりその志を継いで活躍された先人の方々も、さぞやあの世でお喜びであろうと存じます。

徳川五代将軍綱吉の頃、年号は忠臣蔵で有名な元禄時代ですが、この時代はまさにバブル経済の時代でした。石田梅岩先生が後に心学と言われる心の学問を目指して塾を開かれたのは、八代将軍徳川吉宗の享保時代です。その当時は現在と非常に類似していて、バブルが崩壊して景気が低迷し、幕府財政が行き詰まりの状況にあったときなのです。そのときに心の本質を知ることがいかに大事かということを梅岩先生が説かれました。

この平成の世はバブルの崩壊後、政治、経済、教育というように、あらゆる分野で改めて心の問題が注目されている時代です。亀岡市では、昭和六十三年に近畿で最初の生涯学習都市宣言をいたしまして以来、梅岩先生の志を生涯学習のお手本として今日に至っております。梅岩先生はまさに生涯学習の先覚者であったとも言えます。同時に、物の豊かさに比べて心の貧しさが痛感される今日、梅岩先生の説かれた経済の心、企業の心は注目に値すると思います。

 

 

 

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