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赤ちゃんは母乳が大好き11]

“三つ子の魂百まで”

にしもり助産所桶谷式母乳育児相談室 西守由加里

 

全国の自治体にはそれぞれ、子育て支援事業があります。子どもを安心して育ててゆくためのサービスが、いろいろな形で用意されています。なかには、珍しい名前をつけて個性的な支援に取り組んでいる自治体もあります。

山口県の光(ひかり)市は、市制五十周年記念事業の一つとして、平成六年に“おっぱい祭り”を行ない、その時できた“おっぱい憲章”をもとに、翌七年には市議会を通して「おっぱい宣言都市」を宣言しました。

このネーミングの面白さも手伝ってか、全国各地から問い合わせや見学も多く、反響が大きく広がっているそうです。

ネーミングの奇抜さで、目的も明確にわかるという点では、栃木県の真岡(もうか)市も同じです。同市では、“三つ子の魂育成計画”と題した取り組みをしています。

真岡市は、昭和六十年から人づくりの中心に子育て事業を置いて、活動を始めました。それまで、行政の中で複数の課にまたがって行っていた子育て事業を一ヵ所にまとめて取り組もうと、平成十二年四月から“三つ子の魂育成推進室”を設置して、本格的な活動を進めています。

これら個性のある名付け親は誰かと申しますと、子ども祭りを“おっぱい祭り”にし「おっぱい宣言都市」にまで漕ぎつけた立役者は、光市内で開業する産婦人科のドクターでした。一方の“三つ子の魂”の名付け親は、かつて教育現場にいた市長の発案です。

これは、それぞれの専門分野で現場に立ち、その重要性を実感されたがために思いついたネーミングで、いずれも、従来の子育て支援政策から一歩出て、総合的な場を求めたものだと思います。

 

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まりんちゃんとゆうし君

 

また、おっぱいを必要とする乳児期や、それより少し上の三歳までの幼児期が、人づくりの土台として、いかに大切であるかを考え、表現されたのだとも思います。同時に、これからの人づくりは、お母さんや家族という小さな単位を越え、市民全体の大きな力で取り組んでいかなければならないという、深い思慮も含んでいると思います。

"三つ子の魂"ということばは、「三つ子の魂、百まで」と、古くからあることわざから用いたもので、「幼い時の性質は老年まで変わらぬ」の意です。誕生してから三歳までというと、人の一生においては、あっという間の短い時間です。記憶にも残っていないその間に、人の基礎はできあがるのです。

 

 

 

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