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十分間インタビュー7]

石田にろう(二郎)さん

ご先祖石田梅岩と子供たちのこと

 

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亀岡市立別院小学校で二年生に石田梅岩の話をする石田さん

 

―心学開講二七〇年を迎え、各地で記念行事がもたれています。石田さんは、石田梅岩のご生家の当主として梅岩先生をどう思われますか?

石田 勉強が十分できていないのでうまく説明できませんが、遠い昔の、顔を知らない多くのご先祖については、想像もつかないし、よくわかりません。頑張ってこられたご先祖さんや、案外ノンキにやってこられたご先祖さんといろいろだったと思います。(笑)ところが、梅岩先生は例外で別格です。教えや業績がキチッとした文献で残っていますし、逸話なども物語として残っています。そこで当初から、教えは十分理解できないまでも、直感的に"梅岩先生は大変立派な特別のご先祖"という印象を持ち、尊敬し、崇拝していました。

やがて、自分なりに梅岩先生の教えを勉強してみようと思いました。そこでわかったことは、梅岩先生は、「人の人たる道」を求めながら、商人の営利追求を積極的に肯定し、「商人の商人たる道」としてのキーワードに、「正直」(信用)、「勤勉」(人間性)、「倹約」(経済力)をかかげ、それを実践がともなう心学として体系化した思想家であったということです。梅岩先生が偉人とされる根拠は、有言実行の人でかつ、確固たる意志の持ち主であったことにあると思います。

―石田さんは、梅岩先生のことを通じて地元の小学生とも交流がふかいと聞きます。子供と心学について話していただけませんか。

石田 校外講師の立場で小学二年生に今年も二月八日に「梅岩先生のことばに学ぶ」というテーマで話をしました。別院小学校の廊下には、梅岩先生の教えの中から、「感謝、努力、倹約、反省、正直、勤勉、忍耐、立志、仁愛、誠実」の十個の言葉が額に入れてかかげてあります。そこで、この十個の言葉の意味を話し、「ありべかかりの心」(あるがままの心)で素直に生きる事の大切さを話しました。ついで、二年生で実行可能な実践目標として、1]朝の「おはようございます」の挨拶、2]食事前後の「いただきます」「ごちそうさま」の感謝の言葉、3]学校では先生の教えをよく守り、よく勉強する事、4]他人に迷惑をかけない、5]家では両親の言いつけを守り、お手伝いをする―の五つをあげ、「チェックシートをつけて確認しながら実行しょう。一つできるようになったら新たな目標を加えよう。これが二年生が二年生としての"ありべかかりの姿"です」と話しました。後日、子供たちから感謝の手紙がとどきました。

 

 

 

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