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―東田さんは、丹波総局に転勤しておいでになってまだ一ヵ月たちません。それだけに新任地の口丹波地方を新鮮な目でご覧になっていると思います。感想はいかがですか?

東田 一口で言って、口丹波の人は全般的に個性豊かで、信念があって、とてもタフですね。どうして、こうタフになれるのかなあと不思議に思います。僕など今、四十代と五十代の間にあってまだ迷っています。(笑)

本社では、社会部のデスクをしていました。日野小の事件にもかかわりました。亀岡に来てもまず子供たちのことが気になります。今日は、梅岩先生の心がテーマですが、新聞社にいますと、心という言葉はあまり好きになれません。新聞社では、何か悪い事件が起きると、すぐ心というタイトルをつける。“心の闇”とか“心のキズ”とかね。このように、あまり、心、心と多用すると、水増しされてうすれてゆきます。また今の日本の社会はとかく気ぜわしいところがあります。そういったことが、子供の世界にも反映されているのではないかと思います。その点、今日寄せて頂いた東別院町は景色が素晴らしいのでホッとしました。ああいうホッコリできる部分がまだ口丹波には残っている。ああいった景色は大事にして、京都のように変に手を加えないでほしいと思います。

黒川 たしかに、亀岡駅のホームから見た裏手の風景は大変な財産ですね。牛松山をバックにした川東の風景は、尊氏が旗挙げをし、光秀が挙兵をした頃と比べてみても、原風景としてはほとんど変わっていないのではないか。当時との違いは、あの山に送電線の鉄塔があるかないかだけでしょうね。そういう意味で、人と歴史と風景がセットになって残っているのと、そのバラエティの豊富さは亀岡の宝ですね。

 

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