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第4章 海上輸送網を活用した物流効率化の先進事例

 

1. 東京〜苫小牧航路における超高速フェリーの導入事例

 

ここでは、海上輸送網を活用した物流効率化の先進事例として、1999年9月に東京〜苫小牧間に導入された超高速フェリー(30ノット)の事例を取り上げ、超高速フェリー導入の狙い、陸上輸送からの転換による物流効率化やフェリーの積載率向上の効果等を把握する。

本事例を対象とする理由は、川崎〜日向・宮崎間のフェリー航路と所要時間がほぼ同等であり、2隻でデイリー運航している点が類似しているが、特積みトラックにターゲットを絞ったダイヤ設定等により新規需要を積極的に開拓しているためである。

 

(1) 対象航路の概要

1] 航路の概要

対象航路は、従来より(株)ブルーハイウェイライン、川崎近海汽船(株)の両社が共同運航しており、事業区分上は貨物フェリーに分類される。

対象航路には、1999年9月より大型フェリーとしては国内最速30ノットの超高速貨物フェリー「さんふらわあとまこまい」「ほっかいどう丸」が投入され、2隻で日曜を除く毎日デイリー運航を行っている。ダイヤは東京港発23:45→苫小牧港着翌日20:15、苫小牧港発23:30→東京港着翌日20:50で、所要時間は21時間前後となっている。

なお、対象航路を共同運航する2社では、貨物フェリー共同営業センターを設置し、集荷を含めた営業全般を一本化した窓口として業務を行っている。

 

表4-1-1 東京〜苫小牧貨物フェリー航路の概要

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資料)貨物フェリー共同営業センター資料より三和総合研究所作成

注)貨物フェリー(自動車航送貨物定期航路事業)とは、貨物自動車のみを輸送対象とする自動車航送船である。船体の構造や実質的な機能は内航海運のRORO船と同様であるが、海上運送法上、独立の事業区分が設けられ、旅客フェリーと同様に需給調整規制の対象とされてきた。2000年10月、旅客フェリーの需給調整規制廃止に伴い、貨物フェリーという事業区分や需給調整規制も廃止となる。

 

 

 

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