日本財団 図書館


4. 中小トラック事業者のネットワーク化の促進

 

(1) 求貨・求車情報システムの普及動向

インターネット等の情報ネットワークを活用してトラックの求貨情報と貨物の求車情報をマッチングさせる「求貨・求車情報システム」の事業化が相次いでいる。

これらには、その母体となる業種の違いにより、以下のように分類することができる。

・トラック事業者が中心となるもの(求貨情報からのアプローチ)

・荷主の物流子会社が中心となるもの(求車情報からのアプローチ)

・商社が中心となるもの(3PL的な立場からのアプローチ)

これらの多くは、この1年程度の間に新たに事業化したものや、事業化を計画中のものであるが、比較的早期に事業化された求貨・求車情報システムには、1日数百件の求貨・求車情報を取り扱い、事業として成立しているものもある。

 

1] トラック事業者系求貨・求車情報システム

従来より存在する求貨・求車情報システムとして、全日本トラック協会と日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)による「KIT(Kyodo Information of Transport)」や、中小トラック運送会社で構成する日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会による「ローカルネット」があげられる。

KITは信頼性を担保する観点から、組合単位での加盟を前提としている。両システムとも通信手段としてパソコン通信を利用していたが、ローカルネットにはインターネットによるサービスも開始された。

 

【既存の求貨・求車情報システムのインターネット導入事例】

大阪市に本部を置く中小トラック運送会社の業界団体、日本ローカルネットワークシステム協同組合連合会(JL連合会)は、インターネットを使って空車や貨物情報をやり取りする情報システムを構築し、5月8日から運用する。会員同士で空車を融通したり、荷物を混載して共同配送するなどして輸送効率を高める。JL連合会には約1,800社が加盟しており、日本最大級の車両情報ネットワークが立ち上がる。

新システムの名称は「求荷求車システム」。JL連合会本部に設置する高性能コンピューターに、会員企業が車両情報や配送計画を登録。お互いのスケジュールを検索・照合して自社車両の運行計画作成に役立てる。全国に分散する会員企業の配送計画をリアルタイムで検索でき、来年度から小口の引っ越しサービスも始める予定。

(資料)日本経済新聞(2000年5月1日、大阪夕刊)

 

また、以下に紹介するトラック事業者による求貨・求車情報システムの事例では、次の各点が指摘されている。

・閉鎖系システムであるKIT等とは異なり、インターネットや携帯電話により、運転手も含めて誰でも利用しやすいシステムづくりをめざし、会員数を増加させることで求貨・求車の情報量を増やし、システムの利用価値を高めるという考え方を取っている。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION