日本財団 図書館


(2) 架橋の間接効果の把握

架橋供用における間接効果は、大きく次の3つに分類することができる。

○ 生活の利便性の向上

○ 産業振興への寄与

○ 緊急医療等の安全の確保

 

1] 生活の利便性の向上

架橋の整備により、住民は航路の発着時間に左右されず、航路利用の場合よりも短時間で24時間本島との往来が可能となり、買物・娯楽、通勤・通学、通院等の生活の利便性が向上する。

いいかえると、住民の行動圏が拡大されるわけであるが、自家用車の利用がその傾向に拍車をかけることになる。

 

2] 産業振興への寄与

観光産業は加計呂麻島における重要な産業の一つであるが、架橋供用により、本島側からのアクセスが安易になり、入込客の増加が期待できる。

また、架橋自体が観光の目玉にもなるとともに、本島側の観光拠点との有機的連携に大きな効果を生じるものと考えられる。

また、加計呂麻島の農業は、島外への産品出荷を海上輸送に頼っているため、出荷時間が航路の発時刻に左右され、本島と比べて海上輸送費が余分にかかること、陸上輸送から海上輸送への移し替えに手間と料金がかかること、欠航により輸送が不安定となること等のハンディキャップを背負っている。

架橋の整備によって、本島への出荷に際しトラック輸送が可能となるため「輸送コストの低減」「出荷時間の制約の解消」「出荷時間の短縮」「陸路利用による出荷の安定性の確保」といった、海上輸送の制約の解消が図られる。

 

3] 緊急医療等の安全の確保

架橋供用により、夜間や荒天時等の救急医療、消防防災機能が向上し、住民の安全性が確保される。

加計呂麻島の医療機関で対応が困難な患者が発生した場合には、本島の医療機関への搬送が必要となるが、本島との移動に航路が必要であるため、病状に緊急性が求められる場合であっても、搬送に時間を要するという問題が生じるとともに、夜間や荒天時は、交通手段が確保しにくいことが問題となっている。

以上のような救急医療に関する問題点は、架橋の整備によって解消が図られる。すなわち、急病人が発生した場合は、本土と同じく救急車での搬送が24時間可能となり、離島架橋は離島地域の住民における救急医療体制の大幅な改善をもたらすものである。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION