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第2節 観光振興のあり方

 

1. 観光振興における課題とその対応

奄美大島における観光振興の重要な課題としては、「観光地としての魅力アップ」は言うまでもないが、他に、「情報発信の充実」「宿泊施設の整備及びサービスの充実」「アクセスビリティの向上」に集約される。

 

(1) 観光地としての魅力アップ

奄美大島の観光資源の特性、また、沖縄等他の観光地との差別化等を考えると、大規模リゾート型の観光地としての方向は目指すべきでなく、むしろ、個性豊かな、それに自然体験等を重視したグリーンツーリズム的方向性を目指すべきである。

農山村の自然と文化をありのままに生かした農家民宿などによる滞在型・体験型の旅行形態を、グリーンツーリズムと呼ぶが、大規模開発型のリゾートではなく、テーマパークを誘致することでもなく、今ある自然を利用できるという点で加計呂麻島ではこの「海洋版グリーンツーリズム(ブルーツーリズム)」へのアプローチにより魅力アップを図っていくべきである。

バブル崩壊後は、派手で大がかりなレクリエーションよりも、「ラーニング・バケーション」(遊びながら学ぶ)と呼ばれる体験、観察を加えた自然のレクリエーションが静かなブームとなっている。

 

(2) 情報発信の充実

「奄美大島の観光に関するアンケート調査」によると、本土住民は奄美大島について、名前は知っているものの観光に関する実情についてはほとんど知っていない。加計呂麻島についてはなおさらである。

奄美大島の「宿泊客アンケート調査」及び「旅行代理店等ヒアリング調査」においても、加計呂麻島について「あまりよくわからない」という内容の回答が多かった。

まず本土住民に対する情報発信が重要である。

 

(3) 宿泊施設の整備及びサービスの充実

近年の観光客ニーズは、自然回帰の傾向が強いが、全ての生活を自然の中に溶け込ませるというのではなく、ほとんどは快適な環境の中で自然を楽しむというタイプである。旅行代理店等ヒアリング調査のある対象者はこれを「擬似自然体験」と称した。この点からすると、宿泊施設は快適性の確保は必要であり、また非日常性の雰囲気が味わえるクラスの施設が求められる。

若い人の感覚に受け入れられるコンドミニアムタイプの宿泊施設等の整備など、できることから着実に行なっていくことが必要である。

旅行代理店等ヒアリング調査では宿泊施設側のお客の側に立って、細かいことにも配慮するホスピタリティの向上の必要性についても指摘があった。

 

 

 

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