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第1章 調査の概要

 

第1節 調査の目的

 

九州南端から台湾北東端の間に弧状に連なる南西諸島の中央部より、やや南部に位置する奄美群島は、本土から遠く隔絶した外海離島、台風常襲地帯という厳しい自然的・社会的条件下にあるため、本土との間に所得水準をはじめとする諸格差が残されており、また、若年層を中心とする人口の流出や高齢化が進み、活力ある地域社会を維持する上で多くの課題を抱えている。

しかしながら、その一方で、温暖な気候やサンゴの海中景観などの優れた自然、個性的な文化・歴史・伝統芸能、水産資源など多くの魅力に恵まれていることから、これらの亜熱帯性・海洋性の特性、地域資源を生かした農業や水産業、観光などの振興を図ることが期待されている。

以上のような状況のもとで、道路・港湾等の交通基盤の整備を進めるとともに、航路を含む総合的な交通ネットワークシステムの構築は、地域産業の発展や地域住民の利便性向上を図るうえで重要な課題となっており、その改善策等を検討する必要がある。

また、総合的な交通ネットワークシステムの構築を図ることにより、奄美群島における特有の農林水産資源、観光資源等を生かし、その特性に応じた振興開発を推進することは、平成10年3月に閣議決定された新全国総合開発計画において、「南九州から南の海洋に連なる地域においては、産業、観光において海を通じた交流・連携の推進をはかる。」と位置づけられた地域連携軸の形成を図る上でも極めて有意義である。

本調査は、鹿児島県が平成10年度に行った調査及び第3次奄美群島振興開発計画等を踏まえ、同地域の総合的な交通ネットワークの整備方策を提言することにより、離島における交通体系の整備・改善を図るとともに、海事産業の経営基盤の強化、地域経済の発展と民生向上に資することを目的としてこれを実施するものである。

 

 

 

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