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2. 海上旅客輸送に関するバリアフリー化基準

 

(1) 各基準策定の経緯

2000年5月に「交通バリアフリー法」が施行された。また、これに基づいて、2000年11月には、「移動円滑化基準」が制定され、旅客施設や車両の新規建設・購入の際には、基準をみたすことが義務づけられた。

これに先立ち、施設・車両等の技術基準については、さまざまな基準やガイドライン等が検討・作成されてきた。

まず、運輸省運輸政策局の指導のもと、1983年(昭和58年)3月に「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」(以後「58年ガイドライン」)が策定されている。58年ガイドラインについては、鉄道ターミナルのみが対象とされており、旅客船ターミナル等については、検討の対象外となっていた。

この58年ガイドラインを見直す形で、1994年(平成6年)3月に「公共交通ターミナルにおける身体障害者用施設整備ガイドライン」(以後「新ガイドライン」)が策定され、対象施設として旅客船ターミナル、バスターミナル、空港ターミナルが加わるともに、対象者についても、身体障害者に高齢者、外国人等(外国人、妊産婦等)と範囲が拡大されている。

一方、車両等のガイドラインについては、1990年(平成2年)6月に「心身障害者・高齢者のための公共交通機関の車両構造に関するモデルデザイン」が策定されているが、鉄道車両、バス、タクシーが対象となっており、船舶についての仕様等は示されていなかった。船舶については、)2000年3月に、交通エコロジー・モビリティ財団が「高齢者・障害者の海上移動に関する調査研究」を実施し、旅客船ターミナル、船舶等に関する施設整備のあり方についての提言を取りまとめている。

また、1998年度には、交通弱者に対して、バリアフリー対策の水準の高い駅等を増やしていくことを目的とし、交通エコロジー・モビリティ財団によって「公共交通ターミナルのやさしさ指標検討委員会」が設置され、評価に必要な指標の選定が行われた。また、翌次年度(1999年度)には、この評価指標に基づき、大都市のターミナル駅、都市の乗換駅、先進的な取り組みを行っている駅など首都圏、中京圏、関西圏の10駅についてモデル的に評価を行っている。

 

 

 

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