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2)四つの基本的な取組み

(1)みどりのネットワークづくり

狭山丘陵の周辺では、特に埼玉県側においてややまとまった雑木林や耕作地がのこされている。また、鎮守の森や農家の屋敷林も全域に点在している。しかし、数十年前まではごくふつうの風景であった里山の景観は、都市近郊ではほとんど見られなくなってしまった。農業との結びつきを失い、荒れるままに放置されてきた雑木林を再び蘇らせるには、地元住民や一般市民が主体的なかかわりをもつ必要がある。このような緑地を「みどりの回廊」としてネットワークでつないでいけば、潤いのある地域を復元し、生きものたちで賑わう里山の自然をとり戻すことができよう。

(2)里山で育まれた文化

狭山丘陵の里山にのこされた歴史、民俗、そして多くの文化財などは、地域のたいせつな資源(宝)である。それらをとおして先人の暮らしやことば、信仰、行事、伝承などにふれ、さらに次の世代へと受け継いでいく取組みが必要であるまた、地域資源がもつ価値をあらためて見直し、今日の時代にふさわしい「里山文化」の創造に生かす工夫が求められる。

(3)里山にいきづく産業

大都市近郊の農地は、食料生産の場であるとともに「環境財」としても重要な意味をもっている。したがって、そこに展開される農業が地域の暮らしに密着した役割と機能を備えることにより、快適な環境づくりを進めることが可能である。また、茶の生産や養蚕、織物業などこの地域特有の産業を見直し、地域活性化への一つの手法として活用する取組みも重要である。

(4)里山で汗を流し、学ぶ

里山自体が一つの文化財であるという認識をもち、そのうえで今の時代にふさわしい里山の維持に汗を流す取組みが必要である。また、あそびをとおして里山の自然や文化を学ぶことができる仕組づくりを進める。

 

 

 

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