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図6.6-5 トランジスタインバータ

 

制御の方法により電圧形インバータと電流形インバータに分類される。代表的な例を図6.6-5に示す。

電圧形インバータは正、逆転及び駆動と回生制動運転を含む四象限運転には不向きであるが、インバータ出力を共通母線方式とする多数電動機を一括しての群制御に適している。

電流形インバータは制動抵抗の追加、又はコンバータにインバータと同様のトランジスタを使用して四象限運転制御が容易に行え、高頻度の急速逆転運転及び直流機と同様の弱め界磁制御も可能であり、図6.6-2と同じ特性がえられる。多数台の群制御も行える。

この方式の特徴は次のとおりである。

1] 誘導電動機の適用によりブラシなしで保守が容易。

2] 多数の電動機を同時に同速度運転させる揃速群制御に適する。

3] 電源波形への影響を生じる。しかし、コンバータに多重形パルス幅変調制御

(3レベルPWM制御)などの適用で改善される。

(ii) 二次抵抗制御

二次抵抗制御の原理は、二次抵抗を直接あるいは等価的に変化させることより二次電圧又は二次電力を変え、すべりSを制御することにある。

電動機のすべりSと外部抵抗Rの関係は、

S=1/E2・(r2+R) I2

E2:電動機二次電圧

r2:電動機二次抵抗

I2:電動機二次電流

この式から、外部抵抗Rを大きくすることで、すべりSを大きくすることができる。

しかし、効率は次の式のように表される。

η=1-S=N/Ns

N:電動機の回転数

Ns:電動機同期速度

すなわち、効率はほぼ回転数に反比例して低下することがわかる。

二次抵抗制御方式は、液体抵抗を用いるものと、金属抵抗を電磁接触器を用いて段階的に切り換えるものがあるが、速度制御の範囲の増加とともに効率の低下が著しい。

また、保守及び制御性にも難点がある。

巻下げ運転を行うものでは、渦電流ブレーキ、スラスタブレーキ、発電制動等で巻下げの速度制御を行う必要がある。

 

 

 

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