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たとえば、目盛の中間付近を読むとき、0.4とか0.6とか一方にかたよった読み方をする場合がある。これは測定者の熟練の程度、測定に対する感覚によって起こるもので、よく注意すれば、ある程度は除くことができる。

2) 計器誤差

測定器の構造上からくる誤差であって、いかに精密製作された器具にも多少の誤差は避けられない。たとえば、目盛ピッチの不ぞろい、摩擦、測定圧などの変化や機械各部の調整がうまく行われていないために起こるものである。

したがって、計測器具を使って測定するときはどのような誤差を伴うか、あらかじめよく調べ、また、各部の性能を知り、十分に調整しておかねばならない。

一般に、計器誤差は検定によって補正することができる。この補正には、その測定器よりもさらに精度の高い測定器を使用する。すなわち、±0.01mmの精度の測定器を補正するには、1桁こまかい±O.001mmの精度をもつ測定器で行う。一般に、新しいダイヤルゲージやマイクロメータには補正表が必ずついているので、これを参考にすればよい。

3) 外部条件による誤差

室温や採光の変化が影響するために起こるものである。したがって、室温や照明方法を十分に考え、これらの条件を常に一定にして、測定値に対する影響をさけるようにしなければならない。

4) 偶然誤差

偶然誤差は各種の細かい条件がいくつか重なり合って起こるため、原因が判らぬことが多い。たとえば、外囲状況の微変動や測定者の心理的影響も多く含まれている。非常に注意して行えば、ある程度は誤差を少なくすることができる。この誤差は簡単に補正することが難しいので、同じ測定を何回もくり返して求めた測定値を算術平均すればかなり少なくすることもできる。

 

1.3 測定器取扱い上の一般的注意

1) 目的に合った測定器を選ぶこと

測定器には、それぞれ測定方法・範囲・精度というものが決まっており、要求される測定方法・範囲・精度に適したものを使用しなくてはならない。

2) 静かに取扱うこと

測定器は精密な構造のものが多いので、投げたり、物の下積みにしたり、落したりしないよう取扱いには注意が肝要である。

3) 常に清浄に保つこと

ごみやほこりをよくぬぐい、さびないように保管する。さびが生ずると、体積が増したり、もろくかけやすくなる。このため、作動が悪くなったり、目盛が読み難くなったりして誤差を生じやすい。

 

 

 

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