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3.6 遠隔操縦装置

遠隔操縦装置は、船橋操縦室、機関制御室、または、その他の制御室より変節の命令を出し、それを油圧変節装置の変節制御部分に伝えて、翼角の変節を行なうものである。

遠隔操縦装置には、電気式と空気式とがあるが、制御性に優れていることおよび制御の容易なことから現在では電気式が多く採用されている。

 

3.7 可変ピッチプロペラ装置の付属補機器

可変ピッチプロペラ装置の付属補機器には、変節油ポンプ、変節油移送ポンプ、変節油冷却器などがある。

(1) 変節油ポンプ

変節油ポンプは変節装置に変節油を供給するポンプであり、1軸に対して2台装備される。1台は常用ポンプであり、他の1台は予備ポンプである。2軸船の場合予備ポンプを右舷軸用と左舷軸用とを共通することもある。変節油ポンプは独立電動モータによって駆動されるものおよび主機関あるいは減速機から駆動されるものとがある。

停止している予備ポンプは常用ポンプの変節油圧力が低下すると自動起動するようになっている。

ポンプの型式としては、定容量型と可変容量型とがあるが、一般にねじポンプ、歯車ポンプ、ベーンポンプなどの定容量型が使用される。

(2) 変節油移送ポンプ

変節油移送ポンプは船底タンクおよび別置のサンプタンク(ドレンタンク)の変節油を重力タンクへ移送するポンプである。また3・43図に示すような軸系内にサーボモータがある型式のものは、軸系の空所にグリースを充填しているので、重力タンクを必要としない。従って、変節油移送ポンプは装備しない。

ポンプの種類としては、ねじポンプ、歯車ポンプ、ベーンポンプなどが使用される。また専用の移送ポンプを装備せず変節油ポンプを移送ポンプとして兼用する場合もある。

(3) 変節油冷却器

変節油冷却器は変節油を冷却するために設けられる。しかしサンプタンク(ドレンタンク)やプロペラ軸、給油軸などを通しての放熱が十分の場合は、冷却器の装備を省略することがある。冷却器の型式はチューブ式である。

4. 360°旋回式固定ピッチプロペラ装置

360°旋回式固定ピッチプロペラ装置は、主に引船の推進装置として使用される。3・48図に示すように360°旋回式固定ピッチプロペラ装置は、主機関には一定の同方向回転機関が用いられ、弾性継手を介して、中間軸へ伝達される。中間軸に伝えられた動力は、クラッチを介して360°旋回式推進装置に入力し、推進器内部の上方に位置する水平な入力軸端において、1組の傘歯車によって減速されると共に、下方に向う垂直軸を駆動し、その下端においてもう1組の傘歯車によって再び減速され、水平なプロペラ軸を駆動する。

 

 

 

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