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4) プロペラの鳴音

プロペラが水中で回転する時プロペラ羽根の後縁から規則正しい渦(カルマン渦)が発生し、この渦の発生周期とプロペラ羽根の固有振動数とが、同調するとキーン・キーンとかウオン・ウオンとかいう異様な金属音が発生する。この現象を鳴音といい、いつもきまった回転数のところで起きる。鳴音はプロペラ性能に直接影響は与えないが、不快感を伴う場合には、プロペラ羽根の後縁側を修正することによって、比較的簡単に解消できる。なお、鳴音は舵を転舵することによっても消えることがある。

5) プロペラが重いまたは軽い現象

プロペラが重いとか軽いとか一般にいわれるのは、プロペラの重量が重い、軽いを指すのではなく、主機関にかかる負荷の状態を表わしている。船は就航後の船体の汚損、主機関の汚損、プロペラの汚損などの経年変化によって3・41図に示すように主機関の同一出力に対して回転数が低下し、主機関の負荷(トルク)が過度になる現象をプロペラが重い(一般にトルクリッチと呼ばれる)といい、逆に主機関のトルクが非常に低くなる現象をプロペラが軽いという。

プロペラが重い場合はプロペラ直径またはピッチを修正することによって、主機関の負荷を適正にすることは可能であるが、プロペラが軽い場合は、プロペラピッチを大きくすることも考えられるが、一般には対策として良い方法はないので、新たにプロペラを設計しなおして換装するより他に適当な方法はない。

 

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3・41図 重いプロペラ、軽いプロペラ

 

2.6 プロペラの強度に関する規則

プロペラは船舶の主要部品であり、特にプロペラ強度に関してはプロペラの羽根の厚さ、プロペラボス強度およびプロペラ押込量が船舶機関規則によって規定されている。プロペラ羽根の厚さは、主機関の連続最大出力、回転数、プロペラ直径、ピッチ、羽根数などにより、プロペラ半径の25%および60%の位置における最大羽根厚さが規定されている。

プロペラの押込量については、キー付きプロペラおよびキーレスプロペラの場合について規定されている。特にキーレスプロペラの場合、通常型プロペラに比較して、プロペラ押込量が多いので、プロペラボスの強度について十分な考慮が必要である。

 

 

 

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