(3) 非常停止装置
25m以上の船の主機に遠隔操縦装置を設置する場合は、誤って手を触れても作動しない構造の非常停止装置を設けることが義務付けられている。一般には押しボタン式が採用されており、ピン又はキャップをはずしてボタンを押すと、電磁スイッチが作動して燃料を無噴射にして機関を停止させる構造となっている。
(4) 過速度スイッチと危急停止装置
船舶の主機関には連続最大回転数(定格回転数)の1.2倍を越える速度上昇を防止するため、過速度調速機を備えるよう義務付けられている。
通常は定格回転の120%を越える回転速度を検知できるマイクロスイッチを設けた過速度スイッチをクランク軸より、ベルト駆動などで廻すようにしており、それ以上に回転数が異常上昇すると、マイクロスイッチが作動して燃料ラックを電磁弁により強制的に作動させ、燃料を無噴射にして機関を停止させる危急停止装置と組み合わせて用いられ、過回転による事故を防止している。
危急停止用電磁弁は、潤滑油圧力・冷却水温度上昇の各スイッチ等と連動させ、潤滑油圧力が運転に必要な最低限以下になった時や、冷却水切れによる異常な冷却水温度上昇時に作動させ、機関を危急停止して焼き付き事故を防止するようにしたものもある。