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2・87図(B)は減速機歯車室の給油図であり、減速歯車の回転により潤滑油を跳ね上げて各部を潤滑している。

(4) ジェット噴射式

潤滑油の圧力を利用し、油パイプ先端の小孔(噴口)より潤滑油を噴射させる方式であり、ピストン裏面の冷却等に採用されている。(2・87図(C))

2) 構成部品

(1) 潤滑油ポンプ

潤滑油ポンプとしては、歯車ポンプが多く用いられているが、小形機関にはトロコイドポンプも採用されている。

1] 歯車ポンプ

歯車ポンプは、噛み合わせた一対の平歯車を、歯車ケースの中へ出来るだけケースとの隙間を少なくして納めたものである。歯車が回転すると吸入側の潤滑油はケースと歯車の間に挟まれて吐出側に運ばれ、歯車の噛み合い部では隙間が無くなるので吐出口より送り出される。

2] トロコイドポンプ

トロコイドポンプは、ケース内に歯数の異なるインナロータとアウタロータが偏心して組み付けられたものである。インナロータが回転するとアウタロータも同方向に回転するが歯数及び中心が異なるため、インナロータとアウタロータとの隙間の容積が位置により異なるので、この隙間が大きくなり始める位置に吸入口を、一度大きくなって次ぎに小さくなる位置に吐出口を設ければ、隙間容積が大きくなる位置で潤滑油を吸入し、小さくなる位置で吐出される。

 

059-1.gif

2・88図 歯車ポンプ

 

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2・89図 トロコイドポンプ

 

(2) 潤滑油コシキ

潤滑油ポンプから圧送された潤滑油に混入しているゴミ、スラッジその他の不純物を、運動部分や摺動部分に送る前に取り除くために潤滑油コシキが設けられている。

以前はオートクリーン式のものも使用されていたが、最近の高速高出力化に伴い、ホワイトメタルに比べ不純物の埋没性で劣るケルメットメタルや、アルミメタル等の使用が多くなったため、潤滑油に混入する不純物を出来るだけ取り除く必要があり、そのために遠心コシキを併用したり、濾過性能の高いノッチワイヤ式やろ紙式等目の細かなコシキを使用すると共に目詰まりを考慮して容量も大幅に増大している。

 

 

 

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