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互いに接触し摺動する金属面の間に油膜を形成し、金属同士が接触しないようにして摩擦を防ぎ、摩耗を減少させる。もちろん高い荷重面においては焼き付きの防止も兼ねている。

(2) 冷却作用

“潤滑とは冷却なり”と言われるほど重要な役目があり軸受等で発生した摩擦熱を運び去ると同時に、ピストン内部ではピストンが燃焼面から受ける熱やピストンリングの熱を取り去り焼割れや、摩耗の防止をする。

(3) 密封作用

ピストンリングとシリンダライナの間で油膜を形成し、燃焼ガスや圧縮空気の漏れを防止する。

(4) 清浄、分散作用

クランク室内に落下した燃焼生成物や潤滑油自身の劣化により生ずるスラッジなどを分散し洗い流す清浄作用をする。

(5) 防錆作用

金属面に油膜を作り酸化作用を防止する。

(6) 応力分散作用

軸受面に油膜を形成し、集中的に加わる応力や衝撃を油膜を介して分散させる。

 

2) 潤滑油の消費

潤滑油は使用することによって、酸の中和や燃焼生成物の油中ヘの分散等により徐々に汚れ、粘度が増加してアルカリ価が低下する。このため適度の消費による消費分を補給することは、潤滑油の性能維持のために必要である。

また、ピストンとシリンダライナの間を通して燃焼して消費もするが、この消費はピストン、ピストンリングとシリンダライナの潤滑を促進し、ピストンリング溝の堆積物を清浄する作用も兼ね機関の耐久性向上のためにも必要なことである。

なお、潤滑油の消費量が多いと思われたり、消費がないときは機関メーカへ相談されたい。

 

3) 分類

一般に、潤滑油は2・13表に示すようにJIS、慣用呼称やAPIサービス分類で分けられている。

 

 

 

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