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【設立の経緯】

○平成6年に綾織町で水田の圃場整備が計画された際に、綾織町内の女性が女性のためのトイレを設置して欲しいと市役所に要望したが、「個人の意見ではなく町の女性の意見として要望してほしい」と言われ、綾織町内在住の女性を対象に「あやおり女性の会」を結成。その後、自分たちの作った農産物を売る場所が欲しいといった意見も出され、役所に要望書を提出したのが始まり。

○遠野市綾織町の総合案内観光所「遠野風の丘」(道の駅)の敷地内に、平成10年6月に任意団体「あやおり夢を咲かせる女性の会」が食堂兼菓子販売所「夢咲き茶屋」を出店。開業以来事業は順調で売上げが当初の2倍(1800万円→3600万円)になったことから、自分たちの職場としてきちんとやっていこうという起業家としての自覚から平成11年7月に法人化。

 

【特記事項】

○組合員は全て農家で、米、穀類、野菜などを生産しているので食材の一部は組合員から仕入れる。農業経営の一助となり、農家の自立にも貢献している。

○常勤の理事の給料は40歳代が30万5千円(退職金分含)、50歳代が31万5千円(同左)、組合員は時給800円、10数日出勤で10万円位の給与を得ている。

 

3] 事例から得られる示唆

○いずれの事例も、任意団体の活動から起業的に企業組合が生まれている点は注目される。このように住民自体の主体的な当事者意識が成功するための重要な要素であると考えられる。

○企業組合の資本規模は小さく、その意味で施設などの大きな初期投資を伴う資産を持つことは厳しい。朝倉町において、こうした企業組合を展開していく上で、行政との調整の上で、企業組合が活動できる環境づくりが求められる。

○紹介した事例はいずれも地域の主婦層が中心となる企業組合であり、雇用創出、地域の食材や食文化を活かした特産品開発など地域密着の事業展開、食材の地元調達など地域経済やまちづくりへのさまざまな波及効果が挙げられる。朝倉町でも町内で雇用を求める声や、時間の余裕がある女性や高齢者がまちのために貢献したいという意向が強い。こうしたことから、地域密着型のビジネスを通じたコミュニティの再生や、地域の特色を生かしたまちづくり展開を図る上でも企業組合は適していると考えられる。

 

 

 

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