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序章 調査研究の概要

 

1 調査研究の背景と目的

わが国では、急激な社会の変化がもたらした、1]「学歴社会」の弊害の是正、2]「社会の成熟化」に伴う学習需要の増大への対応、3]「社会・経済の変化」に対応するための学習の必要性、などの課題へ対応するため、「必要に応じ、自己に適した手段・方法を自ら選んで、生涯を通じて学習を行う」という生涯学習社会の構築を目指している。

また、近年、高齢化社会の進展に伴い、人生80年をどのようにして豊かで生きがいのあるものにするかが喫緊の課題となっており、よりよい人生をおくるための方策の1つとして、生涯学習は必要不可欠になっている。

本調査研究の対象地である埼玉県北川辺町では、平成10年度を初年度とする第3次の総合振興計画を策定し、「水辺に輝く田園文化の郷(まち)」を目指し、“みんなで創る人の和(わ)、水の輪(わ)、緑の環(わ)”をキャッチフレーズに据え、町民と行政、町民と町民が共に手を携えてまちづくりを進めている。理念を実現する施策の一つとして「生涯学習の推進」を掲げ、町民一人ひとりが自主的な学習活動を続けられるように学習サイクルを体系づけた「いきいきチャレンジ宣言」に取り組んできた。

今後は、これまでの生涯学習の普及・活発化から次の段階、すなわち生涯学習をまちづくりと一体化させることが求められている。その実現のためには、学習者の掘り起こし、住民と行政のパートナーシップの確立、学習成果をまちづくりへ活用する仕組みづくりが必要となっている。

そこで、本調査研究では、現在の生涯学習施策をまちづくりの観点から見直し、北川辺町に住むすべての人々が生涯学習に取り組み、その学習成果を生かすことにより、「水辺に輝く田園文化の郷(まち)」を創造していくための生涯学習基本計画の策定を目的とした。

 

2 調査研究の視点

(1) 計画のための計画に終わらせないよう、実効性のある計画を策定した。

(2) 生涯学習の意義や役割を整理し、本町のまちづくりにおける生涯学習の位置づけを明確にした。

(3) 施策の立案にあたっては、すべての世代が学習に取り組めるように留意した。とくに、青少年の動向に世間の注目が集まっている昨今の現状を踏まえ、将来のまちづくりを担う青少年の健全育成を目指し、地域教育力の強化を図る。その中心には、地域の拠点として学校を据えることとした。

(4) 住民と行政が一体となって生涯学習を推進していくために、取り組みやすい方策を掲げた。また、わかりやすい表現を用い、子どもから高齢者まで読んで分かる内容の計画を策定した。

(5) 住民と行政のパートナーシップに基づく新たなまちづくりの構築を目指し、早急な移行ではなく、取組みの状況に応じた戦略的かつ段階的な施策の展開を図った。

 

 

 

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