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(ウ) その他

その他、多くの州にリサイクル品優遇調達の制度が見られる。

 

ウ 外交的制裁としての差別措置

州レベルで外交的制裁としての調達差別措置がとられたのは、マサチューセッツ州のビルマ法に限られる。前述のように、これは、最高裁における判決の結果違法とされ、停止された。しかし、州の下の地方自治体レベルにおいては、広範に外交的制裁としての調達差別措置が見られる。その意味では、マサチューセッツ州のビルマ法は氷山の一角に過ぎない。例えば、今回詳細に見た中では、ニューヨーク市においてビルマに対する差別措置が調達制度に埋め込まれていた。他にも、次のようなものが指摘されている(31)。カリフォルニア州アラメダ・カウンティー(対ビルマ、ナイジェリア調達差別)、マサチューセッツ州アマースト(対ナイジェリア調達差別)、ミシガン州アナーバー(対ビルマ調達差別)、カリフォルニア州バークレー(対ビルマ、ナイジェリア、チベット調達差別)、コロラド州ボールダー(対ビルマ調達差別)、マサチューセッツ州ブルックライン(対ビルマ調達差別)、マサチューセッツ州ケンブリッジ(対ナイジェリア、ビルマ、インドネシア調達差別)、ノースカロライナ州カルボロ(対ビルマ調達差別)、ノースカロライナ州チャペルヒル(対ビルマ調達差別)、フロリダ州デート・カウンティー(対キューバ調達差別)、ロサンジェルス市(対ビルマ調達差別)、ウィスコンシン州マディソン(対ビルマ調達差別)、マサチューセッツ州ニュートン(対ビルマ調達差別)、オクラホマ州ノースオルムステッド(対児童労働・強制労働等利用国調達差別)、カリフォルニア州オークランド(対ナイジェリア、ビルマ調達差別)、カリフォルニア州パロアルト(対ビルマ調達差別)、ペンシルバニア州フィラデルフィア(北アイルランド調達差別)、オレゴン州ポートランド(対ビルマ調達差別)、マサチューセッツ州クインシー(対ビルマ調達差別)、カリフォルニア州サンフランシスコ(対ビルマ調達差別)、カリフォルニア州サンタモニカ(対ビルマ調達差別)、カリフォルニア州サンタクルーズ(対ビルマ調達差別)、マサチューセッツ州サマビル(対ビルマ調達差別)、メリーランド州タコマパーク(対ビルマ調達差別)。

以上のような外交的制裁としての調達差別の原型は、1980年代に未だにアパルトヘイトを行っていた南アフリカに対する制裁である。マサチューセッツ州のビルマ法の立法過程が示すように、対南ア調達制裁関係者が対ビルマ調達制裁を持ちかけている例も多いという。このような調達差別の問題は、モニタリングである。議会はこの種の立法には政治的動機から熱心であるが、モニタリングには投資をしない。他方、行政サイドからすれば、調達に関わる企業が本当にどのような取引関係を構築しているのかをチェックすることは大変難しい。そこで、NGOの情報に依存することもあるようであるが、その場合情報源の正確さ、正当性が問題になりうる(32)

また、最近の傾向として、個別の国を名指しするだけではく。児童虐待労働等を一般的に対象とする調達差別措置も見られる。前述した中では、カリフォルニア州、オクラホマ州ノースオルムステッドがその例である。

 

エ WTO政府調達協定への対応

調達制度が各地方政府によって異なるのに対応して、WTO政府調達協定締結に伴う対応の方法も各地方政府毎によって異なる。ただ、一般的には、州法、行政命令レベルでの対応はしておらず、より実務的レベルでの対応が多いようである。例えば、カリフォルニア州では行政命令化を断念したが、政府内コミュニケーションの問題、労働組合の反対等により断念したようである。

個別具体的な対応の評価は現段階では情報が不足しており難しいが、次のような点は推測することができる。第1に、オレゴン州の資料によると広範に州産品優遇を行っていると思われるアラスカ州、ハワイ州、ルイジアナ州、モンタナ州、ニューメキシコ州、サウスカロライナ州、ウェストバージニア州、ワイオミング州のうち、アラスカ州、ニューメキシコ州、サウスカロライナ州、ウェストバージニア州はWTO政府調達協定に参加していないので問題はないが、ハワイ州、ルイジアナ州、モンタナ州、ワイオミング州は参加している。これらの州の州産品優遇制度について、本当に政府調達協定締結国が適用除外になっているのかについてチェックする必要がある。

 

 

 

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