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また、経営事項審査点数は入札参加のための最低限必要な条件として用いることとし、その他個別の工事において契約履行能力を確保する上で不可欠な技術的条件については、当該条件について別途具体的に明記するとの運用を行うことが望ましい。

なお、平成11年度以降このような事例が急増したことを受け、平成12年2月に自治省(現総務省)と建設省(現国土交通省)から連名により通知(平成12年2月16日付け建設省経市発第1号建設省建設経済局建設業課長・自治国第25号自治大臣官房国際室長通知)が出されているが、通達発出後においても同様の問題が2件発生している。

〔参考条項〕

○政府調達協定第8条(b)抜粋

入札の手続への参加のためのいかなる条件も、供給者が当該入札に係る契約を履行する能力を有していることを確保する上で不可欠なものに限定されなければならない。

 

4 検討すべき課題の整理

これまでみてきたとおり、近年、地方公共団体の調達において外国政府等から政府調達協定上の問題点を指摘された事例が急増している。そして、協定上の問題点の指摘を受けた地方公共団体は、総務省や外務省の助言を踏まえながら、自主的に入札公告や入札をやり直すことにより問題を解決してきた。したがって、これまでのところWTOの紛争処理委員会(パネル)に提訴される等の大きな問題には発展していないが、国際貿易の発展とWTO体制の重要性を標榜するわが国として、地方公共団体においても、諸外国に不信を与えないよう協定を適正に遵守していくことは極めて重要な課題である。

地方公共団体が協定を遵守するために最も重要なことは、各団体が協定の趣旨・内容をよく理解し、協定を遵守するという意識を持って、調達事務に当たることであろう。しかし、いくら協定を遵守する意識を持ったとしても、それだけでは実際に調達契約手続を運用していく過程において、協定との関係で問題が発生する可能性は免れ得ない。

そこで重要となるのが協定遵守のための制度的担保であるが、この点に関し、政府調達協定については特例政令の制定等により一定の対応がなされているものの、特例政令は協定のすべての規定をカバーしているわけではない。そして、実際に外国政府等から協定上の問題点が指摘された事例は、特例政令との関係ではなく、特例政令がカバーしていない協定の規定との関係で問題が指摘されたのであった。

また、これまでの事例では、地方公共団体が自主的に改善措置をとり問題が解決されたが、今後、外国政府等が協定上の問題点を指摘した場合において、外国政府等の指摘がすべて協定の解釈として正しいものとは限らず、また、外国政府等の指摘に関し、国と地方公共団体がそれぞれ異なる協定の解釈を主張する場面も考えられる。

以上を踏まえ、本調査研究において検討すべき課題を整理すれば、第一に、わが国の地方公共団体の調達に関し、わが国が諸外国と政府調達協定の解釈について争う場面に備え、諸外国、特にわが国の地方公共団体の調達に高い関心を示している韓国と米国について、両国の地方政府がどのように協定を実施しているかを調査しておくことが有用である。

第二に、国と地方公共団体がそれぞれ異なる協定の解釈を主張する場面に備え、そのような場合に国と地方公共団体がそれぞれどのような対応をとることができるか検討しておくことが重要である。この場合、これまでの問題発生事例が特例政令との関係ではなく、特例政令がカバーしていない協定の規定との関係で問題が指摘されたことから、協定が地方公共団体に対してどのように適用されるのかを検討することが不可欠である(8)

そこで、以下では、まず第3章において韓国の地方自治団体における協定への対応状況、第4章において米国の地方政府における協定の実施状況、そして第5章においては米国の州政府において協定との関係で問題となった事例(具体的には、マサチューセッツ州のミャンマー制裁法を巡る動向)について、それぞれ報告する。

そして、第6章において、わが国の地方公共団体における協定遵守をめぐる問題構造を整理し、第7章においては、わが国におけるWTO協定の国内直接適用の可能性について検討し、第8章においては、ECにおけるGATT/WTO協定の裁判規範適格性について報告し、最後に第9章において若干のまとめ行うこととする。

 

 

 

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