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1] 他の加盟国で禁止補助金が維持されている場合

2] 他の加盟国の相殺可能補助金が自国の国内産業に対する損害または、無効化、侵害若しくは著しい害を与えている場合

3] 他の加盟国の相殺不可能補助金が自国の国内産業に対する回復し難い損害を生じるような著しい悪影響を及ぼしている場合

協議によって相互に合意する解決が得られなかった場合には、紛争解決機関等に問題を付託し、一定期間内に当該機関から勧告が行われる。期限内に勧告が行われない場合には、申し立てを行った加盟国は、相殺関税の賦課等の対抗措置をとることが認められる。

 

エ 通報(第25条)

加盟国は、特定性のある補助金(相殺不可能補助金で特定性のあるものも含まれる。)について毎年6月30日までにWTO事務局に通報する。

 

(4) サービス協定

本協定は、サービス貿易に影響を及ぼす中央政府及び地方政府の措置に関して、協定を締結すれば自動的に課されるものとして「最恵国待遇」、さらに締約国が義務を負うことを約束して初めて課されるものとして「市場アクセス」及び「内国民待遇」の義務を規定している。

 

ア 「最恵国待遇」

最恵国待遇の義務とは、この協定の対象となる措置に関し、他の加盟国のサービス及びサービス提供者に対し、他の国の同種のサービス及びサービス提供者に与える待遇よりも不利でない待遇を即時かつ無条件に与えることをいう。

 

イ 「市場アクセス」及び「内国民待遇」

わが国は、約束表に記載した分野について約束表に定める条件及び制限に従い、他の加盟国のサービス及びサービス提供者に対し、次の義務を負う。

1] 数量制限、需給調整、外資制限、業務拠点の形態の制限を行わないこと

2] わが国の同種のサービス及びサービス提供者に与える待遇よりも不利でない待遇を与えること

なお、加盟国は、地方政府による協定の義務の遵守を確保するため、「利用し得る妥当な措置」をとることとされている。

 

4 地方公共団体の施策とWTO協定(事例研究)

以下では、上記3において概要を説明した地方公共団体と関係の深いWTO協定について、これらの協定上、地方公共団体の施策がどのように評価されるのか、事例研究を行うこととする。

 

(1) スタンダード協定

事例:食品の製造年月日表示の義務付け

〔概要〕

A県は、消費者保護条例において、食品の日付表示について「製造年月日」の表示を義務づけている。

〔問題の所在〕

スタンダード協定は、強制規格を制定する場合には原則として国際規格に準拠することを求めている。食品の日付表示について、国際規格は、製造年月日ではなく、期限表示を採用しているため、同協定との整合性が問題となると考えられる。

 

(2) TRIM協定

事例:現地調達要求

 

 

 

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