日本財団 図書館


付加価値税の政府間割当て

―国際比較の視点から―

 

東京大学経済学部教授 持田信樹

 

(1) 現行地方消費税の評価

○ 地方消費税は、税収が安定的で、かつ各地域に普遍的に課税ベースが存在しており、地方財源としては望ましいもの。

○ 地方消費税については、地方公共団体に税率決定権がない点を問題点として指摘する向きがある。

○ 地方消費税は、最終消費地と税の帰属地の不一致を解消するという考え方から、徴収権は原産地原則に基づきながら、税の帰属地についてはマクロ的な清算システムを採用している。

○ 地方消費税の清算制度のメリットとして、清算前(=付加価値の生成局面で課税)には地域的偏在度の大きいものが、地域的普遍性の高い最終消費局面に基づく清算によって、他の税目と比べても偏在度の小さい税となっていることがあげられる。

○ 地方消費税の普遍性は、旧消費譲与税にほぼ匹敵するもの

○ 均一税率の場合、原産地原則と仕向地原則は資源配分に対する中立性という面では無差別だが、税収の配分に違いが出てくる。日本のように地域経済の開放性が高い場合には、その差は大きな意味を持つ。原産地原則の場合はやや偏在度が高くなる

○ 今後、国際的な動向や租税論のフロンティアを踏まえて、自本の地方消費税の位置づけや今後の課題を明らかにしていくべき。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION