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納税者の事務負担等を勘案するとその賦課徴収は国(税務署)においてそれに対応する国税の賦課徴収と併せて行うことにならざるをえないかもしれないが、滞納処分については(国税徴収法の例によるとしても)地方公共団体自身が行うことによって、納税者にとっても地方税としての納税意識が生まれることになる。

(結果的には、現在の地方消費税の性格、賦課徴収体系に近くなる。)

(6) 上記のように、行政責任の明確化、財政錯覚を少なくし受益と負担の対応関係を強化するという考えの下で都道府県と市町村間の税源の再配分をするとした場合に、地方交付税に対してはどのような影響を及ぼすことになるのであろうか。

この点については、現在の地方交付税の対象税目の中から無くなるものがあること、道府県から市町村の税目に移動することに伴って算入率の変更分(80%から75%になるので5%分)だけ増えるという点だけから考えると、義務教育職員給与費のように税源の再配分と事務の再配分が対応して行われるようなものが多い場合には、マクロ的には地方交付税の総額は増加しなければならない。

しかし、事はそんなに簡単ではなく、地方交付税の総額がどのようになるかということは、事務の再配分に伴って事務の効率化、合理化ということがでてくるがそのことによって基準財政需要額がどのように変わるのかということ、また、税目の移転、統合といっても単純に税率を上乗せするわけではないこと、さらには、事業税に外形標準課税方式を導入するに伴って、どの位の税率(税負担水準)にするのか、また、外形標準で課している他の税目や税率についての整理がどのように行われるのか等によって基準財政収入額がどのように変わるかということ等によって左右される。

また、地方交付税特別会計の赤字地方債である借入金が平成12年度末見込で34兆円あり、これは地方公共団体共通の借入金等であることから、この特別会計の入ロベース及び出ロベースの地方財政対策の中で将来計画を立てて償還していく仕組みを構築していかなければならないと考えるが、この問題は景気回復に伴う国税・地方税の税収増がどのように変化していくかということを基に、地方財政対策の中で最も重要、かつ、政策的な課題である。従って、この点については今後、様々の議論がでてくると思われるが、本稿では課題の指摘だけにとどめておきたい。

 

 

 

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