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2 課税自主権の活用について

 

(1) 課税自主権の尊重

地方分権推進計画においては、課税自主権尊重の観点から、地方税について4項目の制度改正がうたわれ、そのうちの2項目(標準税率を採用しない場合の国への事前届出の廃止、個人市町村民税の制限税率の廃止)は、平成10年度の税制改正において、あとの2項目(法定外普通税の事前協議制への改正、法定外目的税の創設)については、地方分権一括法による地方税法改正が行われ、平成12年4月1日から施行された。

 

1] 個人市町村民税の制限税率の廃止

平成9年度までは、地方税の基幹税目のうち、個人県民税及び法人県民税均等割には制限税率が無く、事業税、市町村民税、固定資産税には制限税率があった。

地方分権推進計画においては、制限税率は、総合的な税負担の適正化を図るためにも、その全面的な廃止は適当ではないが、個人市町村民税については、住民自らが負担を決定する性格が強いこと、個人道府県民税には制限税率がないこととの均衡等を考慮し、その制限税率を廃止することとされたところであり、平成10年度税制改正において廃止された。

 

2] 法定外普通税の事前協議制への改正

従来、法定外普通税の新設・変更に当たっては、あらかじめ自治大臣の許可を得ることとされていた。

分権一括法による改正では、「国と地方が対等・協力の関係に立つ」という国と地方の新しい関係に基づき、従来の許可制度を廃止して、国の同意を要する事前協議制に移行することとされた。なお、自治大臣に協議しないままに、又は協議したがその同意を得ずに課税を行うことは、地方税法に定める手続に反することとなり、協議を経て同意を得ることなく法定外普通税の課税を行うことはできないものと解されている。

 

 

 

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