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経済学では、スピルオーバーが発生すると、当該公共財の供給は過小となることが知られており、適正な水準の公共財を供給させるためには、国や都道府県など広域の行政主体による補助金の交付が必要となる。

市町村にとって、広域行政や合併によって、スピルオーバーができるだけ生じないように努めることは、効率性の観点のみならず、国や都道府県の関与を縮減するためにも、必要なことと言えよう。

 

・特に市町村の場合、規模や財政力に非常に幅があり、税源移譲を行うとしても、どの程度の規模・財政力の市町村を念頭に置くかによって、相当イメージは変わってくる。

・税源移譲によって相当程度財政面の自立性が高まる市町村はいいが、税源移譲をしても依然として地方税が収入の2、3割にしかならない市町村についてどう考えるか。

・地方税の充実に当たっては、安定性があり偏在度の少ない税目を中心にすべきことは当然だが、それでも、地域間の税収格差が拡大する可能性はあり、この点についてどう考えるか。

・地方税源の拡充と言った場合には、国と地方の関係だけではなくて、市町村、特に都市の税源の充実という視点も必要ではないか。

 

(6) 望ましい地方税体系のあり方

1] 国と地方の税源の共有と分離

一般に、一国の地方財政の規模が非常に小さいときは、地方税は一部の税目に依存することが可能で、国税と地方税が分離型の体系でも地方財政を賄えるが、対人サービスが増え地方財政規模が大きくなってくると、地方税源の多様化が必要となり、所得課税や消費課税の地方税化を図り国税との重複型の税体系が必要となってくる。

しかし、地方財政の規模がさらに大きくなってくると、国と課税ベースを共有しているために地方税の独自性の発揮や地方税の拡充が難しくなるという重複型の問題点も顕在化してくるため、基幹税目について、国税と課税ベースを共有していても地方税の独自性が発揮できるような仕組みとするという視点から、既存の税制の見直しを検討することが適切であろう。

 

 

 

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