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国税と地方税の配分比率は、税制改正によっても変わるが、税制改正がなくても税収弾性値要因によって変わる。最近になってようやく、税制改正要因が地方税の比率を高める方向に動いてきたが、従来は、弾性値の違いによってシェアが左右される傾向が強かったと言える。

 

2] 最近の税制改革

ただし、最近の税制改革においては、地方税源の充実確保という観点が、従来よりも明確に意識されるようになってきた。

例えば、平成6年度の税制改革においては、地方分権、地域福祉の充実等のため、地方税源の充実を図る観点から、消費譲与税に代えて地方消費税を創設することとし、都道府県税の課税バランスの改善及び都道府県税収の安定化が図られた。平成元年の消費税導入の際に、電気税、ガス税、料理飲食等消費税、娯楽施設利用税等地方の個別間接税が廃止、縮小され、その減収額は、地方税ではなく消費譲与税により補てんすることとされたため、地方における消費課税の比率は低下し、国税の課税バランスが改善したのとは逆に、地方における課税バランスは歪みを拡大することとなっていたのである。

また、平成11年の恒久的減税の実施については、極めて厳しい地方財政の状況や地方分権の推進に伴う地方税源の充実確保の要請にも十分配慮して、国・地方の負担割合を定めたが、地方税の減税幅は、従来の考え方に比べて小さくすることとされた。また、減税による減収分の補てんについては、たばこ税における税源移譲の実施が行われたほか、法律上、当面の間の特別措置であることが明確な地方特例交付金の創設が行われた。

 

(4) 地方税源の充実確保に関する政府の考え方

上記のような地方税財政の現状も踏まえ、地方税源の充実強化の必要性が各方面で訴えられているが、政府関係の主なものについて概観すると以下のとおりである。

 

 

 

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