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【参考:国民負担率】

国民負担率は、公的サービスに要する費用を賄うために法律に基づいて国民に課される負担の大きさを示すもので、租税収入の対国民所得比である租税負担率と、社会保険料収入の対国民所得比である社会保障負担率との合計で表される。また、国民負担率に国・地方の財政赤字の対国民所得比を加えたものを潜在的国民負担率という。

日本の国民負担率は、租税負担率については、景気の動向に応じて上下することはあるものの、長期的な趨勢としては上昇してきており、また、社会保障負担率については近年急速な上昇を見せている。

これを国際的に比較すると、これまでは老年人口比率が相対的に低かったこと、また経済成長率が相対的に高かったこともあって、日本の国際負担率は西欧諸国と比べると低い水準にあったが、少子高齢化と経済成長率の鈍化により、今後は長期的には上昇せざるを得ないと見込まれている。

一方、潜在的国民負担率は、西欧諸国並に近い高水準である。現在の日本では、国民負担率を抑えつつ高水準の行政活動を行うため、財政赤字によるファイナンスが行われているということになる。財政赤字=公債による財源調達は、その時の国民が受ける行政サービスの受益と負担の関係を不明確にし、公債の償還のための税負担を行う将来世代に負担を先送りすることとなりかねない。

国民負担率が過重となることは、勤労意欲への影響、民間貯蓄の減少、設備投資の減少等を通じて、経済成長にマイナスの影響を及ぼす可能性があると指摘されている。

現在凍結されている財政構造改革法においては、国の財政運営の当面の方針として、潜在的国民負担率が50%を上回らないように抑制することが明記されている。

 

 

 

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