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10. 神戸における新しい都心居住のあり方―都心におけるコンパクトタウンづくり―

 

神戸市企画調整局企画調整部企画課長 横山公一

 

I はじめに

近代神戸は幕末の兵庫開港によって始まったが、当時の中心は現在の都心部より西側に位置するJR兵庫駅や神戸駅の周辺であった。

その後、港を中心とした都市機能の発展に伴い、神戸の業務・商業・文化の中心地は、多くの外国人が居留した元町・三宮周辺(現在の都心中心部)へと移ってきた。

このように、外国人居留地の造成に端を発する神戸の既成都心は、身近に海や山の自然があるという地理的特色を持ちながら、業務や商業だけでなく、観光や居住などの機能がコンパクトにまとまった、他にはない個性的な都心を形づくってきた。

とりわけ、これらの地域における国際色豊かで多様な居住機能は、業務や商業などの都心機能と融合することによって、今日の個性ある神戸の都心文化を育んできた大きな要素のひとつであると言える。

また、昨今、地方都市の都心のあり方が、従来の一極集中型から交歓型へと機能の転換を求められている中、新しい時代の都心を形成するためには、業務・商業だけでなく文化・教育・福祉・娯楽等の機能が一体となった多機能複合型都心が目指されるべきであり、ベンチャービジネスをはじめとする新たな産業のインキュベート機能の涵養とともに、都心活力の源となる「夜間人口」の増加をもたらす「都心居住の促進」が、今後ますます重要な課題となってくる。

そこで、神戸市においては、先の阪神・淡路大震災により甚大な被害を受けた神戸都心地域の本格復興とともに、新しい時代に向けた魅力と活力あふれる都心づくりを目指し、国土庁(現国土交通省、以下同じ)の協力のもと、平成9年度に「都心地域の復興に向けての都心のあり方と活性化策」に関する調査検討を実施し、翌、平成10年度には、同じく国土庁委託調査「新しい都心居住のあり方」に関する調査を実施した。

 

 

 

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