日本財団 図書館


はしがき

 

わが国の地方行政制度の運営やその改革にあたって、諸外国の地方制度の研究から得るところは少なくないと思われる。

このため、当センターでは、外国の地方制度に関する文献を翻訳・刊行し、わが国の地方公共団体の参考に供してきたが、このたびは英国のOxford University Pressから出版された「Public Management Reform」(パブリック・マネジメントの改革)を取り上げることとした。

 

本書は、パブリック・マネジメントという用語を用いて、過去20年間にわたり、10ヶ国の先進民主主義諸国で実施されてきた政治―行政分野における様々な改革を詳細に研究した野心作である。本書では、まず、パブリック・マネジメント改革の性質や特徴、概念や一般的な用語の説明や検討、モデルの提示などが行なわれ、次に、上記10ヶ国と欧州委員会の国際比較研究を通じて、パブリック・マネジメント改革がなした成果について検討が行なわれている。本書の特徴は、豊富な文献を用いて、各国における改革の「結果」について評価をしている点、また民主的な統治(ガバナンス)の手段としてのパブリック・マネジメント改革が持つ可能性と、それが本来的に内包している限界について考察している点、さらにパブリック・マネジメント改革の変遷についての研究を、政治システムや政治情況の分析と統合した点などがあげられる。いずれにしても、我が国の閉塞している政治―行政に対する「将来への教訓」を引き出すには、信頼するに足る知識の源泉として、本書の利用価値は極めて高いといえよう。

 

本書の翻訳については、翻訳専門会社のテクノスタッフにお願いした。原書の出版元のOxford University Pressには、今回の翻訳書刊行の趣旨をご理解いただき、また、地方公共団体への無償配付を前提として、日本語での限定出版をご快諾いただいた。各地方公共団体において、本書を活用していただければ幸いである。

 

平成13年3月

 

財団法人自治総合センター

理事長 松本英昭

 

 

 

目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION