日本財団 図書館


海外ではアメリカのチェサピーク・ベイを対象にメリーランド大学との共同研究、フランスではIFREMERあるいはニース大学との共同研究、カナダではカナダ環境省等で一緒に環境修復の技術的な課題を取り組んでいる次第です。

さて、きょうのお話の中で、問題は、いかに環境というものを我々の中に取り込んで、そしてそれをいかなる方法で守っていくか。環境管理という前に保護するということが非常に大事になってくると思うんですけれども、その辺りは先ほど哲学的なお話がございましたけれども、そういうようなものが伴わないと、なかなかやっていけないだろうというふうに思います。社会的な要請としては、いろいろなところで強まってきているのは確かでございます。

1997年、日本では遅ればせながら新しい環境アセスメント法が成立し、昨年施行されました。この法に基づいて一体何をするのかということが課題です。また、財政構造改革では成長15分野の中に海洋関連産業が挙げられ、そこでmitigation技術についてこれは重点的にやるべし、というのがありました。また、1998年では、いわゆる新全総の「21世紀の国土のグランドデザイン」と言いましょうか、その中に沿岸域圏総合管理計画というものが議論されて、最近そのまとめが出た次第です。我々はアメリカの1972年の「沿岸域管理法」あるいはフランスの1986年の「沿岸域法」に次ぐ沿岸域法がここで完成すると期待をしていたのですが、まだいろいろとステップ・バイ・ステップという段階で、これからまた新たなる方向に向かっていくのではと期待をしております。

また、いろいろな法律も次々に変わってきております。例えば「海岸法」で運輸省が努力しておりますが、これまでの防災という、あるいは防護という考え方から、防護+環境というような、あるいは利用という3つのコンセプトといいましょうか、こういう考え方をもとにして海岸法を考えていこうという方向でございます。非常に大事なことだと思います。自然に対して、先ほどお話があったように「予防する」という考え方、これは防災というのは確かに台風が来る前に、波が来る前に大きな堤防で遮断するというのがありますけれども、環境もそういうような「予防する」という考え方が非常に必要じゃないかという気がいたしております。壊れる前に壊れないようにしていこうと。mitigationの中では、いわゆるavoidanceといいましょうか、回避する、悪くならないように環境へのマイナスを回避するというような考え方もございます。そういうようなことを入れながら環境管理というものを進めていく必要があるのではないかというような気がしております。

さて、我々はアメリカのチェサピーク湾と、フランスの関係している地中海と、両方照らし合わせながら、日本においていかなる政策なり、あるいは技術化が必要かということを検討しております。日本というのは、食べ物もそうですけれども、和食があったり洋食があったり中華料理があったり、いろんなものを上手に食べこなしているということがございます。日本文化は日本文化として、それに対して足りないものはどんどん吸収していくという、私はこれはいい方向ではないか考えております。したがって日本流の環境管理のあり方というものを、そういう原点をいろいろと考えながらやっていく必要があるかと思います。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION