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そしてその中心は個人

個人は常に一つの村のために消える覚悟があり

一つの村は複数の村が集まった円のために消える覚悟がある

そしてそれは全体が個人で構成される一つの命になる

傲慢でもなく攻撃的でもなく

ただ謙虚に

尊厳に満ちた海洋の円を共有する

そこで個人は不可欠な構成単位である

だから、一番外側の円が権力を行使して

中の円をつぶすようなことはない

内なる全てに力を与え

そこから自らの力を引き出すのだ

 

ガンジーが説くシステムは、ブラントラント報告で論じられているのと同様、トップダウンではなくボトムアップで、整合性があり包括的な参加型、そしてヒエラルキーとは無縁の秩序の中で、個人と地元社会、地元社会と国家、国家と国際社会の境界が半透明になるというものです。ガンジーにとって、これが世界全体にとって理想的な秩序の姿でした。世界の海洋を扱う事情は、陸地の場合とはきわめて異なります。したがって我々は違った角度から新しい考え方をしなければなりません。我々はこの理想的な秩序にきわめて近づいてはいますが、決してそこに到達することはありません。それは言うまでもありません。しかし、そこに至る道筋こそが目的なのです。

 

 

 

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