また、1996年より発足した日本財団ホスピス研究会の委員長をお引受けいただいてもおります。
なお、昨年、内科学及び看護教育の分野で文化功労者に選出されていらっしゃいます。『死をどう生きたか』や、『生きることの質』など、数多くの著作をおもちでもいらっしゃいます。
本日は「人生に有終の美を〜生き方の選択〜」と題してご講演いただきます。
それでは日野原さん、よろしくお願いいたします。
講演1.「人生に有終の美を〜生き方の選択〜」
聖路加国際病院理事長 日野原重明 先生
皆様、よくいらっしゃいました。今日、ここにいらっしゃる方々のなかの何人かは、テレビで私を見たことがあるといわれる方ではないかと思います。ときどき駅にいきますと、知らない方がおじぎをされるのですが、後ろを見ても誰もおられないので、「ああ、ぼくだな」と思っておじぎを返すようなことが多いのです。今日ここに、私が期待したよりもずっと若い人が多いので、今日は「死」のことを語るセミナーでありながら、皆さんの顔がなにか輝いているような感じがするわけであります。私の今日の講演は、「人生に有終の美を」というものですが、これは「人生に輝きを」ということにも通じることでありまして、もうすでに皆さんは何か輝きのある心をもっていらっしゃったのではないかと思っております。
浜松には日本で最初のホスピスが聖隷三方原病院につくられました。1981年のことです。静岡県の方、あるいは浜松の方は非常に誇っていいと思います。
世界で最初のホスピスがロンドン郊外につくられたのが今から33年前、1967年です。そのすぐあとに月飛行があり、また、心臓移植があった。そういうころ、早くも英国ではホスピスがつくられて、そして今やホスピスが世界各地でつくられつつあります。
私が理事長をしているライフ・プランニング・センターの経営する独立型ホスピスでは、世界のホスピスとのつながりを歌でやろうという計画が6年前から起こっておりまして、3年に1回、10月の中旬の土曜日の7時半から、ニュージーランドから始まって、ずっと西にいって、そしてオーストラリア、日本、香港、シンガポール、インドというように世界をずっと一周するのです。そして、それぞれの国が同じ時間に「メサイヤ」を合唱する。その「メサイヤ」を合唱することで世界の人々にホスピスをよく理解して、ホスピスの数が多くなるだけでなしに、ホスピスの心が世界中に広がっていくような運動を起こそうということです。私たちも平塚の近くでこの音楽会に参加しました。
私は今週の金曜日から2日間、シンガポールに行って、大洋州ならびにアジアのホスピスの責任者が30名ぐらい集まるアジアのホスピス協議会に出席します。私は夜の飛行機で行って夜の飛行機で帰るということになるのです。私はいろんな仕事をやっておりますが、今日はそういう忙しい仕事を忘れて、皆さんとこの大切なテーマについてお話しができることを非常にうれしいと思っております。