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永石さんは、1993年より「KTN高齢化社会キャンペーン」を担当され、医療、福祉、保険、ホスピスなどに関する問題提起を番組やセミナーなどで実施されてきました。現在も県内5カ所での勉強会の中心メンバーとして活躍されています。

それではここからの進行は永石さんにお願いいたします。

 

永石 ご紹介いただきましたテレビ長崎で記者をしています永石と申します。これから、「『死』を見つめ、『今』を生きる」というタイトルでパネルディスカッションを始めたいと思います。よろしくお願いします。

私事になりますけども、高齢化の問題やその他の問題で、県内各地を回って感じますのは、皆さんが生きることを真剣に考えておられるなということをまず最初に感じました。その表れが、今日、この会場、2000名の定員ですけども、入場券の受付を始めましてからそれほど時間がかかりませんでしたし、また今日の欠席者が少ないということに表れているんじゃないかなというふうに思います。

そうした皆さんの熱心さの背景、根底というものには、私は、大きく分けて2つの理由があると思っています。一つは社会の変化、もう一つは個人的な理由でございます。社会の変化というのは、日本が高度経済成長が終わりまして、これから成熟の社会を迎えているという、いわゆる物から心へという私どもの関心が移ってきているんじゃないかということでございます。もう1つの個人的な理由といいますのは、一言でいえば、私たち皆さんが自分の生き方を探しておられる。先ほどのデーケン先生のことばでいえば、意義ある人生を探しておられるなということの表れじゃないかなと思います。

この意義ある人生さがしのなかで、今日のパネルディスカッションのテーマでいいます生と死ということに関していえば、大きな問題が二つあるんじゃないかなというふうに思います。その一つの生の問題です。皆さん、ご存じだと思いますけども、厚生省は先日、昨年度の日本人の平均寿命を発表いたしました。それによりますと女性は 84.01歳、男性は 77.16歳。男性は前の年を若干下回りましたけれども、女性は上回りまして、世界一の長寿を維持したということでございます。この長寿について、私たち、皆さんもそうだと思いますけれども、長寿はいいことだけども、このなかには自分が見たり聞いたりしている、いわゆる寝たきりの人が多数含まれているわけです。自分だけは寝たきりのまま長生きしたくはないなというふうにお考えじゃないかなという、このことが一つの理由でございます。元気なままどうしたら長生きできるのかということだと思います。

 

 

 

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