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試算の結果、

●汎用電子乗車券の普及率が高くなるほど、運賃支払いの平均時間が短縮される。

 

券種毎の運賃支払時間・利用率と全券種平均運賃支払時間

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※汎用電子乗車券

 

4. 標準仕様の検討

 

汎用電子乗車券の標準仕様について日本鉄道サイバネティクス協議会で検討を行っているところであるが、本調査研究では、汎用電子乗車券技術研究組合での技術開発及び実証実験の成果を踏まえ、普及促進の観点から、日本鉄道サイバネティクス協議会との意見交換を行い、汎用電子乗車券システムの標準規格の策定に参画し、その策定状況をまとめた。

 

5. 交通事業者向け汎用電子乗車券解説書

 

汎用電子乗車券の普及促進を目的とし、平成8年度から平成10年度にかけて、「汎用電子乗車券開発検討委員会」で検討したコンセプト、および今年度検討した定量的な費用対効果や社会的効果の結果を解説書にわかりやすくまとめ、全国の交通事業者へ配布を実施した。

 

6. 本調査の成果及び今後の課題と展望

 

汎用電子乗車券システムは、様々な交通機関に採用されることで相乗的な効果が現れ、公共交通システム全体の効率化、利用者の利便性の向上に繋がることが期待される。今後、汎用電子乗車券の普及促進を図る上で特に重要と考えられる点をまとめる。

1] 交通事業者間でのカードの共通利用化

規格化、量産化によるカードや機器費用の低減、乗り継ぎ時の精算業務の合理化、カード発行枚数の低減など費用面において有効であり、特に相互直通運転やノンラッチ接続を行っている場合一層効果的である。

事業者間でのシステムの円滑な連携を実現するためにも、今後どの事業者においても同一の規格が採用され、カード発行管理、事業者間での運賃清算方法、サービス運賃の設定、不正使用への対応、技術仕様の管理などの検討が行われることが重要になるものと考えられる。

2] 汎用電子乗車券の多機能化

ICカード普及促進の観点から、交通分野で導入されるICカードについても、他分野のサービスカードとの連携による多機能化への展開が求められる可能性があり、汎用電子乗車券の普及促進、多様なサービス展開を行う上でも多機能化は重要になるものと考えられる。

 

更に将来、汎用電子乗車券システムが各交通機関に定着することで、以下の観点からも、利用者が層の便益を得ることが期待される。

●駅務機器の台数削減による駅空間設計における自由度の拡大

●後方システムを適切に構築し情報管理を行うことで、車両運行計画の最適化、乗り継ぎラッチの削減や改札の共通化が可能となる

●上記の効果により、公共交通機関のバリアフリー化、シームレス化における一層の効果が期待される

 

この様に、汎用電子乗車券システムは、現在公共交通機関が抱える諸問題の解決にあたって有効な手段を提供するものと期待され、今後も普及促進を図っていく必要がある。

 

 

 

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