日本財団 図書館


3. 汎用電子乗車券導入の社会的効果

 

汎用電子乗車券システムの導入による利用者の時間削減効果について分析を行う。

 

(3-1) 駅利用における時間短縮効果

1日の入出場者数が4万人(ピーク時:12,000人/h)相当の駅を想定し、券売機、精算機、改札機等の利用時間の実測値をもとに、駅利用の時間短縮効果について数値演算による流れ解析手法により評価を行った。

1] 新システム導入前は磁気カードシステムが完備されており、駅務機器の設置台数は駅の建設基準に準じることとし、新システムを導入した場合は改札機5台、精算機2台、券売機8台とする

2] 磁気カード利用客にも対応することを前提とし、汎用電子乗車券の所有客の割合(普及率)について 0/60/90%の3パターンを比較

3] 入場者数、出場者数をそれぞれ4000〜10000人/hに変化させる

4] 入場時間とは駅への到着から改札機の通過するまで、出場時間とはプラットホームから改札機を通過するまでの時間とする

5] 新システムを導入した場合、改札処理速度の向上を考慮し、改札機通過時の利用者間の平均距離を0.75m(未導入の場合1.5m)とする

6] 調査値に基づき磁気カード利用客の券売機及び精算機の利用率を20%と2%とし、汎用電子乗車券利用客は月に一回の頻度で料金の積増を行うこととする

試算の結果、

●入場時間については、汎用電子乗車券の普及率が高い程時問短縮効果が現れ、特に想定駅において入場者数が6,000人/h以上の場合、効果が顕著である。

●出場時間については、元々精算機の利用頻度がそれ程高くないこと、出場時間における駅構内での歩行時間が占める割合が高いことから、入場時間程の時間短縮効果は現れない。

 

1時間当たりの入出場人数と普及率と入場(出場)時間(秒)

004-1.gif

 

●新システムの導入前は、想定駅において入出場者が16,000人/h以上になると入出場時間が急激に増加するが、導入している場合はこのような現象は現れない。

 

(3-2) バス利用における時間短縮効果

大都市圏の路線バスを想定し、実測した券種毎の運賃支払時間をもとに時間短縮効果を試算した。

1] 汎用電子乗車券の所有客の割合(普及率)について 0/60/90%の3パターンを比較

2] 新システム導入前は、磁気カードシステムが設備されており、a)定期券、b)プリペイドカード、c)現金、d)回数券が利用されていることとする(調査に基づくこれら券種の利用率及び平均運賃支払時間を次表に示す)

3] バス1台につき料金箱が1つ設置されており、運賃は定額とする

4] 新システムを導入した場合、磁気カード及び回数券の利用は廃止するが、現金支払客に対応するため現金収受の仕組みを存続する

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION