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2. 汎用電子乗車券導入に対する定量的効果分析

 

汎用電子乗車券の普及を図る観点から汎用電子乗車券システム(以下、新システム)の下記に示される導入効果について、複数の交通事業者における調査結果等に基づき具体的な試算を行い、評価を行った。

●運用費用の縮減効果(費用対効果)

●券売や改札、バス料金の支払い等における時間短縮効果(社会的効果)

費用対効果については下記の評価式を用い(2-1)〜(2-4)に示される条件で、新システム導入から20年後までの導入効果を評価した。

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(2-1) 首都圏の主要ターミナル駅に接続する鉄道路線において磁気カードシステムから導入する場合

1] 1日の路線利用者は21駅で1,050,000人

2] 関連機器を導入、更新する場合には、5、10、15、20年度のいずれかの時期に実施

3] 新旧の両システムで機器の交換寿命は10年

4] 新システム導入直後は全ての機器を磁気カードとの併用機とし、従来型の利用客に対応

5] 併用機からの入れ替えによる汎用電子乗車券専用機の拡大比率(速度)について、早いパターン(1)、(3)とパターン(2)を比較(次表参照)

6] 新システム導入の際して、全て新製品で導入するパターン(1)と既存の磁気カード機器の残存寿命を考慮し一部を改造により併用化するパターン(3)を比較(次表参照)

7] 磁気カードとICカードにかかる費用は長期的には同等とみなす

汎用電子乗車券専用機の設置比率(推移パターン)

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試算の結果、

●新システム導入当初は費用対効果が低下するも、磁気カード専用機に比べ汎用電子乗車券専用機の保守費用が安価であるため徐々に費用対効果が上昇し、約10年後に投資費用が回収される。

●磁気カード専用機に比べ汎用電子乗車券専用機の購入費用が安価であるため、機器の主たる更新時期(本試算では10年毎)に費用対効果の上昇が顕著。

●汎用電子乗車券専用機の運用比率が高い程、費用対効果が現れやすい。

●磁気カード利用を存続させる場合、導入時に既存機器の改造で汎用電子乗車券に対応させることで投資費用が低減し、費用対効果が現れやすい。

 

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(2-2) 首都圏の周辺部の鉄道路線において現金システム(紙式定期券、切符を利用)から導入する場合

1] 1日の路線利用者は15駅で407,000人

2] カード価格は初年度500円、5年後250円、10年以降125円/枚とした

3] 新システム導入時は汎用電子乗車券専用機器を全駅に設置するが従来型の利用客に対応するため、その普及に合わせ改札通路の自動化比率を徐々に高めることとし、その拡大比率(速度)について2パターンを比較(次表参照)

 

 

 

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