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III 各分科会報告

 

第一部会 報告

 

課題

盲導犬育成システムの共同化・共通化・多様化の推進

 

リーダー:藤井聡尚

メンバー:下重貞一 河西光 長崎史明 久掘三紀也 市村保夫

 

【1】日本の盲導犬供給の現状

 

[1]平成10年度「盲導犬に関する調査」結果の検討

 

(1)盲導犬事業の国際規模と日本の水準

国際盲導犬学校連盟(本部:英国、26ヶ国72施設加盟)の1998年(1/1〜12/31)統計によれば、これらの26ヶ国72施設では、98年中には2,626ユニットが訓練されている(97年は2,193ユニット)。このうち新規ユーザーは、1,254ユニット(47.8%)、代替ユーザーが、1,372ユニット(52.3%)となっている。また、歩行指導の全課程が盲導犬訓練施設で行なわれたのは、1,927ユニット(73.4%。97年は72.2%)、一部盲導犬訓練施設・一部家庭で行なわれたのは、341ユニット(13.0%。97年は、18.0%)、全て家庭で行なわれたのは、358ユニット(13.6%。97年は9.9%)である。

また、12月31日現在、パピーウォーキング中の仔犬は、4,728頭(97年は3,849頭、+22.8%)、そして、15,059頭の盲導犬が実働している。ちなみに97年は12,397頭(+21.5%)という結果になっている。

日本の状況を見ると、統計期間が異なるので厳密に比較する事は難しいが、日本盲人社会福祉施設協議会盲導犬委員会の1998年度年次報告(以下、日盲社協年次報告98)によれば、1998年度の育成数は130頭、実働数は853頭であることから、国際規模で日本の盲導犬の供給割合をみると、育成数では5.0%、実働数では5.7%の実力ということになる。

 

(2)潜在需要に関する類似の調査との比較

平成10年度「盲導犬に関する調査」(以下、本調査という)は盲導犬事業を構造的にとらえようとした画期的な調査といえる。特に一般視覚障害者に盲導犬利用希望について尋ねたことは、潜在的な盲導犬の需要数の推計を可能にし、このデータは今後の盲導犬事業の展開に大きな影響を与えていくと考えられる。本調査における盲導犬利用希望の結果は右の表のとおりであった。これらの結果から、日本における盲導犬の潜在的な需要者数は約7,800人と推計する事ができる。

 

表1. 一般視覚障害者の盲導犬利用希望

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本調査のように一国の盲導犬の潜在需要者数を推計した調査は多くはないと思われるが、この他に注目すべき調査として、The Demand for Dog Guides and the Travel Adjustment of Blind Persons(the Research Center of the New York School of Social Work, Columbia University, 1960)がある。

 

 

 

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