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(2) 軍事水域の主張

中国は、1950年、沖合に公海を含む三ケ所の軍事関係水域を主張していた。(i)鴨緑江河口と山東半島東端を結ぶ線の西側水域(渤海湾及び黄海北部)に軍事警戒水域、(ii)上海沖に軍事航行水域、(iii)台湾北部に軍事作戦水域であった。このうち、(ii)の水域は、1958年に領海12カイリとしたことから領海に含まれることとなったが、残りの二水域については、1975年(旧)日中漁業協定締結時に、中国はその存在を主張した。日本は、同水域における漁業は差し控えることに同意するが、同水域に対する中国の主張を認めることについては立場を留保した(49)

(北朝鮮) 北朝鮮は、前述のとおり、1977年に排他的経済水域の中に領海基線から50カイリの軍事境界線ないし軍事警戒水域を宣言した。この水域設定の目的は、EEZ を保護し、軍事的の国家の利益と主権を防衛することにあるとされ、水域内(空中を含む)では、外国の軍事用船舶及び航空機の活動は禁止され、民間用船舶及び航空機の活動は、事前の同意又は承認が必要とされている。米国による1990年1月4日の抗議によれば、沿岸国が、平時に、領海外の公海上の航行及び上空飛行を制限するような軍事目的の権利又は権限を主張することは認められないと述べている(50)

 

 

 

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