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6.2.8 インテリジェントソフトマテリアルを利用した自動潜航浮上ロボット

 

(1) 構想の概要

 

AUVの運用上の最大の課題は、回収に関して担当者に非常に強い心理的圧迫を与えていることと言われている。すなわち、海での運行では予期せぬトラブルでロボットそもののが海の藻くずとなりかねず、また情報伝達が十分に行えないために正常に機能しているのかどうかが伺い知れないという危惧が残るためである。

このため、深海において、電子制御や外部からの制御なしに、環境場に応じて機械的なメカニズムにより、自動的に潜航・浮上するシステムがあれぱ信頼性の向上に寄与することが期待される。一般に海洋は、1000m付近までは温度が単調に低下するという温度分布を示す。このために10℃付近で相変化を起し密度が減少するような材料があれば自動浮沈装置として活用できることがわかる。

 

(2) 必要な要素技術

 

ある種の高分子ゲルは、室温付近で水中で相転移をおこす。放射線重合させて作成したアミノ酸を含むゲルは、水中で相転移温度14℃を境に低温側で膨張し、高温側で収縮する。膨張時の体積は収縮時の425倍にもなり、浮上材としての応用が期待できる。

 

144-1.gif

図6.2.8-1 Copoly(A-ProOMe/CR-39)膜の膨潤に対する温度効果

▲:0/100、■:10/90、●:20/80、△:30/70、□:50/50、○:70/30wt%

(出典:原研施設利用共同研究成果報告書、p317-322(1997))

 

 

 

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