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6.2.3 新海洋エネルギー創出(メタンハイドレート)

 

(1) 構想の概要

 

我が国でメタンハイドレートが確認されている海域は、南海トラフ、奥尻海嶺、十勝・日高沖海域等であるが、メタンハイドレートを資源化するための海域としては南海トラフが有望である。南海トラフは、静岡県沖から紀伊半島、四国沖を経由し、九州東方まで伸びる、最大水深が約4800mの船底状の地形をした海盆である。後述するように、南海トラフには予想以上の量のメタンハイドレートが存在している可能性が高まっている。メタンハイドレートの回収に対しては、CO2地中処分の項において後述するように、CO2ガスを地層内に圧入することによりメタンガスを採取する方法の応用などが考えられる。

 

(2) 海洋新技術の意義

 

メタンハイドレートは、北極圏や南極圏の凍土地帯、大陸近くの大陸斜面に広く存在し、世界海域の資源量として、221兆ないし1650兆m3の資源量があるとされている。日本周辺海域に賦存するメタンハイドレートの埋蔵量として6兆m3の試算値があり、資源量だけから見ると、資源小国の我が国が資源国に転じる可能性がある。図6.2.3-1に、世界のメタンハイドレートの分布を示す。

 

(3) 内外の研究状況

 

通商産業省の委託調査として石油公団が1999年11月中旬から実施している南海トラフの基礎試錐において、メタンハイドレート含有量が全体堆積物容量の約20%という高集積度の砂岩層が発見されている。その集積の程度は、1995年米国フロリダ沖での国際深海掘削計画(ODP)第164次航海で採取されたものの約10倍になる。2000年1月からは、VSP(抗井での弾性波記録)データの取得、改良PTCS(圧力温度を維持してコアサンプルを採取する装置)によるコア採取を行い、BSR(メタンハイドレート層の底部)とメタンハイドレートとの関係解明、BSR下部のフリーガスの存在状況、メタンハイドレートの存在状況等の詳細把握を行うための補足調査が行われている。

 

 

 

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