日本財団 図書館


6.2.2 深層水マイニング

 

(1) 構想の概要

 

海洋深層水から、工業的に有用な元素を資源として採取することを目的とする。この際に重要なことは、対象とする元素が、海洋深度の増加に伴い濃度も増加するような鉛直分布をもつことである。一般的に、海洋中に溶存する元素については、図6.2.2-1に示すような、3種類の海洋鉛直分布パターンがみられる。図6.2.2-1は、あくまで濃度分布パターンの模式図であり、元素の種類および海域により、実際の鉛直分布は変動する。

 

121-1.gif

図6.2.2-1 海洋中の溶存元素の鉛直分布

(出典:The Oceanography Course Team,Ocean chemistry and deep-sea sediments(1989))

 

(2) 海洋新技術の意義

 

我が国は資源小国であり、ほとんど全ての鉱物資源を海外からの輸入に頼っているのが現状である。これに対して、海水中には有用な元素が多数含まれており、ウランなどは実際に海水からの採取が研究されている。我が国が海洋に囲まれているという利点を活かすことにより、海洋表層のみならず、海洋深層からも有用元素を採取することが可能になれば、今後の資源の枯渇化を考慮に入れた際にも有望な研究テーマとなり得る。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION