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平成9年に実際のユニットの3分の1の大きさの長さ100m、幅20m、深さ2mの部分浮体モデルを9体作成し、これらを使った洋上接合などの実証的研究の他、完成した長さ300m、幅60m、深さ2mの浮体モデルを使って様々な実証的実験を行ったフェーズ?を終え、以下の成果が得られている。

a. 海上で次々に浮体構造物を接合して、大規模化が可能なことを実証し、メガフロートの建造技術を確立した。

b. メガフロートについて総合的な設計を行うことができる各種の設計プログラムを整備し、速やかで正確な設計が可能となった。

c. 錆びない材料で鋼構造物を保護する方法や、長期にわたって維持・管理するための装置を開発・実証した。これにより、100年の耐用も可能な目処がついた。

d. 鋼製浮体構造物の特徴である動揺、温度影響(変形、温度勾配など)、騒音・振動の伝播などを予測する事を可能にし、施設の性能を確保するための対応策を整備できた。

e. 実証海域の計測結果より、浮体構造物が環境に与える影響が少ないことを確認し、浮体構造物の環境影響評価を行う手法や評価の参考になる実測データを整備した。

現在、フェーズIIとしてメガフロートの空港利用に関する実証的研究が行われている。

なお、環境問題の深刻化や経済的な問題などから建造物、建築物の運営管理(建造から運用を経て解体されるまでのマネジメント)が重要視されてきており、「ライフサイクルエンジニアリング」という概念が提唱、実施されてきている。「ライフサイクルエンジニアリング」とは、従来、設備のライフサイクルすなわち、企画、設計、施工、運用、改修、解体の全体を見渡した技術活動を行い、操作が容易で、保全性・信頼性・安全性が高く、故障・劣化の少ない設備の運用をはかることを指していた。しかし、環境問題の深刻化で、環境への影響を考慮する視点が含まれてきおり、建築分野だけではなく、家電品や自動車などの製品のライフサイクル全般へと概念が拡張されてきている。陸上においては、LCA(ライフサイクルアセスメント)注1)とLCC(ライフサイクルコスティング)注2)と技術を同じ評価軸で評価する手法が用いられていたり、社団法人建築業協会において「LCC縮減および生涯価値向上を実現するための技術体系の確立」を掲げてライフサイクルエンジニアリング(LCE)特別委員会が設置され、建物の生涯価値向上のためのチェックポイントなどが提示されている。

 

2] 深層水の汲み上げ技術

現在、高知県、富山県、沖縄県に深層水取水施設が設置されており深層水を利用した食品加工、化粧品などの商品化が目指されている。

 

注1)製品やサービスのライフサイクルにおける環境負荷を計量し、環境への影響を評価する手法のこと。

注2)建物のライフサイクル全般にわたるコスト評価を行うこと。

 

 

 

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